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4話

 騒動の後、大神官は連れて行かれ、村の拘置場に繋がれることになった。その際村長の指示であったと叫んでいたが、村長の一喝で流されることになった。


「……さて、ミル。コウキが勇者の相棒だと、本当にそう神は言われたのだな。」

 間違いであることを祈るように、そして忌々しさを隠しきれないまま、村長は聞いた。先程の騒動で村長を怪しむ者も多く、周りからの視線は強い。


「はい、確かにそうおっしゃっていました。」

 そう言いながらミルの表情は優れない。別にコウキが相棒であることを疑うわけではなく、神の声が少し焦っていた気がしたのだ。誰にも聞こえていないので、言うことなど出来ないが。


「むぅ、仕方ない、か。……皆の者、今日はもうお開きにしよう。料理は自由に持って行って構わない。また、明後日は勇者アリスとその相棒のコウキの出立の日だ。明日中には挨拶等は済ませておいてくれ。」

 村長のその言葉で、騒ぎは有耶無耶になったまま解散になった。

 

 広場は慌しくなり、そのせいでコウキの両親でさえ気づかなかった。コウキのどこかホクホク顔とも見える表情に。




 コウキが家に帰ると、中には既に両親と何故かアリスがいた。


「いや、どうしてアリスがいるの?」

 コウキが堪らず聞くと、

「だって、後で説明するって言ったじゃない。」

 と、返答され、コウキは答えに窮して諦め、仕方がないと思い直して説明を聞くことにした。


「説明といっても大したことは分からないけど……

私が勇者になった時、何かが繋がる感覚がして、女性の声がしたのよ。それで直感的に、神様かと思って聞いてみたら……」

 そこまで言ってアリスは一息つく。


「肯定されたのよ。それでもって、妙なことを考えている人間がいるから先に相棒を伝えておく。と言われてコウキが相棒だと知ったのよ。」

 そこでアリスの話は終わった。しかし、何故か家に帰らずアリスはコウキの両親にこう言った。


「明後日からのことについて話したいのでコウキの部屋で話してきて良いですか?」

 二つ返事で了承した自分の両親に見送られながら、コウキはアリスに自分のことを話すべきか悩んでいた。




 部屋に入ると、アリスは席にもつかず、

「で?“真偽判定”の他に何が使えるの?」

 と言った。コウキとしては自分が言おうとしていたことを先に言われ、固まっていた。


 それもそのはず。実は本来なら鑑定士は自らが特化した事象しか鑑定できない。珍しい事象を鑑定できる者はいるが、二つ以上の事象を鑑定できるものなどおらず、先程自分で気付いたばかりだったからだ。


「ど、どうして分かったのさ。」

「神に言われたのよ。後、さっきミルのこと鑑定してたでしょ。表情と視線ですぐに分かったわ。」

 簡単に言っているが普通そんな真似は出来ない。これはアリスが勇者としての五感や第六感を使いこなしている証拠だろう。……女の勘も混じっているが。


「まぁ、いっか。これから一緒に行動することになるみたいだし。一応、今のところ“真偽判定”“職業鑑定”“解析”の三つは確実だね。」

 真偽判定は対象が嘘をついているかの判定、職業鑑定は対象の職業に関する鑑定、そして解析が一番オーソドックスな物質の鑑定である。


「ふーん、一般的な鑑定ね……ん?今のところってことは」

「うん、なんかまだありそうな気がする。」

「そう。じゃあこの話は終わりにして、明後日からの予定を決めましょう?」

 この言葉に、もうアリスは帰るのかと思っていたコウキは驚く。


「元々そう言ってきたんだし、それに鑑定士なんだから少し訓練が必要じゃない?」

 アリスの言葉は紛れもなく正論で、それ故にコウキは反論を諦め、アリスと話し合いを続ける。

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