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13話

「やっぱり勇者の嬢ちゃん達か。じゃあ、鑑定が必要なモンスターってお前さん達が持ち込んだのか?」

「そうです……ゲイルさんは職業鑑定を使うんですよね。ということは、ゲイルさんが所長さん?」

「あぁ、そうだ。にしても、コウキは何の鑑定士何だ?勇者の嬢ちゃん程じゃあ無いが、それでも普通じゃあり得ない情報量で上手く読み取れなかったんだが。」

 その言葉に、コウキはアリスとアイコンタクトを取る。そして、一つうなずくと

「実は……何故か複数の鑑定が使えるんです。」

 そう、告白した。

「ふむ、そうか……」

「あんまり驚かないですね。」

「まぁ、明らかにあの量はおかしかったからな。未知に近い鑑定技能か、複数か……そのどちらかしか無いとは思っていた……後者の可能性は低いと思ってたがな。」

 苦笑しながら告げるゲイル。実際、ゲイルが今まで詳細を読み取れない程の情報量を持つ人間など居なかったのだ。それが二人も同時に現れたのだから少し自信を喪失していた。

「おっと、いつまでも話していても仕方ない。その辺りの話は後で聞かせて欲しいが、今は本題に入ろう。」

 そう言って、周りを見渡したゲイル。すると固まってしまっているギルド職員と自分の部下が目に入る。コウキの職業に関しての情報量が多いことに驚いていたゲイルであったが、ある意味情報量の多さに驚くという意味ではこの二人もそうなのか、と考える。

「おい、そろそろいいか。本題に入るぞ。」

「……えっ?あ、すいません。じゃあ、始めますね。鑑定“解析”。」

 緊張の溶けたゲイルの部下がフォレストウルフの解析を始めたのを固唾を飲んで見守るコウキ達。

「……変異種。確かにそう出てますね。原種に比べて大きさと……それに毛皮なども硬さが増しています。こんな亜種や上位種は見たことがないですよ。」

「そうですか。ありがとうございました。」

「いえ、こちらとしても頼って頂いたのに大した情報を渡せていないので、できれば新しい変異種の情報が出たら教えて頂きたいです。」

 結果はやはり、変異種であった。

 そのまま解析を続けるも、そこまで詳しい情報は出ず、結果、研究所に持ち込むことになった。

「それにしても、鑑定を使わない研究をもするんですね。」

「何言ってるのさアリス。鑑定だけでは全部わかる訳じゃないのは知ってるでしょ。」

「そうだな。鑑定だけでそんな真似ができるようになるにはどれだけの時間と適性が必要になることやら。」

 アリスの疑問に答えたのはコウキとゲイル。そしてこれを皮切りに、鑑定士談議が始まる。

「そういえば、ゲイルさんってかなり鍛えてますよね。それってもしかして戦闘職の人と……?」

「そうだな。実際に戦ってみないと分からないことも多いし、それなら少しは強さがないといけないからな。」

「少し……?街中で人に絡んでた冒険者を倒したの忘れたんですか?」

「そもそも、鑑定士で魔法が使えて体術や武器を使った戦闘もできるっていうのがおかしいんですよ。」

 得意げなゲイルだが、ギルド職員と部下の激しい突っ込みにあい、落ち込む……

「あれはあの冒険者が弱かっただけだろう。それに

魔法も体術も武器戦闘もできた方が良いじゃないか。」

 訳もなく、開き直る。そんなゲイルに、

「えっ?ゲイルさん魔法も使えたんですか?」

 思わず聞くコウキ。

「あぁ、とは言っても水魔法だけだけどな。」

 因みに、この世界には7つの基本属性魔法とそれ以外の特殊魔法がある。基本属性魔法には木、火、土、金、水の5つと光、闇の二つがあり、それぞれの相性などは、元々の相克関係や魔力によって変わってくる。

「すごいですね。僕も魔法の練習をしておかないと……」

「まぁ、魔王がどんなのか知らんが、あったほうが便利だろうな。」

 そんな話をしながら時間は過ぎて行った。



「いけね、もうこんな時間か。」

「おや、そうですね。そろそろ戻りますか。」

 もう外が赤く染まり始めたのを見て、ゲイルとその部下は帰り支度を始める。

「そういやコウキ達は宿は決めてんのか?」

「いえ、まだですけど。」

「そうか。なら家に泊まらねぇか?コウキとは話しておきたいし、勇者の職業も気になる。」

「良いんですか?」

「良いんだよ、元々何人かの鑑定士が下宿状態だし……あ、女もいるから心配しなくていいぞ。」

 最後の言葉はアリスに向けてそう言うゲイル。

「じゃあ、お願いします。」

 そして、ゲイルの家へ向かった。




「「お邪魔します。」」

 玄関を入ったゲイルの後に続き、入るコウキ達。

「あれ?その人達は?」

 すると、若い男の声が聞こえ、そちらを向くと、コウキと同じくらいの青年がいた。彼はただ他人が家にいた時にしては些か驚き過ぎる顔をしていた。誰も気付いてはいなかったが。

「お?ゼルスか。ちょうどいい、紹介したかったんだ。」

 そして、その声にようやく笑顔になるのであった。

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