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追放剣姫に花束を  作者: あんパ
2/9

2:剣のお姫様の生活

間が空いてすみません


よろしければ、ご意見ご感想イージーモードで宜しくお願い致します。

こちらに来ている異邦人(エトランゼ)は義務的なことがいくつか課せられる


・一つ、魔晶石への魔力の供給

・一つ、地域への貢献

・一つ、なんらしかの技術免許の取得


この他にもあるけど基本はこの三つ

これは異世界から来ている大抵の人間にできるので

魔力が無いという種族もいるので「地域貢献」と「技術取得」は絶対といってもいい


これに不満を持つ者は…馬鹿よ?

私たちの学費や滞在費は世界()からましてや家から出ているわけではない

こちらの世界で金銭が用意できるはずもない

仕事をしようにも…

生体実験の実験体とかにされないだけマシだと思わないと

(支給)されてるスマートフォンとIDカードでよほどの贅沢をしなければなんとかなる

よほどの贅沢をしたいならそれなりにすることをすればなんとかなる

私は贅沢をするつもりはなかったのですが…その…学園を通じて(政府)からお金を借りてしまっている身の上なので仕方がない


大体皆さん、1人1~2個、小指の先ほどの透明度の高い結晶に一週間かけて魔力を込める

私は魔力量の関係で5個ほど(1日1個ペース)で魔力を提供している

私のは希少(ツルギ曰く歪)で扱いも難しくその分報酬を頂いている。

…最初は希少すぎて必要価値がなかったのよね

どこの世界も手のひら返しはあるんだとよく理解させてもらった一幕だった

本当ツルギが居るか居ないかでその世界の価値が変わるって凄いと思った。


余分に必要なのは…先述の借金

故郷の国にある自分のお金を使えれば簡単に返せる額ではあるけど


それ面白くないじゃない?


折角異世界に来たのに、そんな事したら興醒めだわ

ツルギが私ごと貰ってくれるというなら持ってくるのもやぶさかではないけど

ツルギってそういうの嫌うから

そんな事してツルギに嫌われたくないでしょ?

…まぁ去年のやらかしでもかばってくれてるから大丈夫よね?


「クレア様大丈夫ですか?」

外から声がかかる

…ひとり暮らしかツルギの家に行く予定が

生まれのせいもあって、侍女を呼び戻された

「大丈夫よ、どうしたの?」

「いえ、またよからぬことを考えてないかと」

私をなんだと思っているこの侍女は…


前はひと部屋に浴室と化粧室と小さなクローゼット

安宿屋みたいで機能的な部屋だったのに…

侍女付きということで部屋を替えられた

侍女付きでも一番小さな部屋にしてもらったので…一人になれるのが浴室か化粧室かこの狭い書斎になるのが問題

もうひと部屋あるところでも良かったかもしれないと少し後悔してるけど、無駄にあっても本当に無駄だし…

なにか勘違いした物見遊山な貴族令嬢らしき生徒に格下に見られると、何故か私とレイン以外が心配していたけど


この世界(異世界)でそれって何か意味があるの??


何をしに異世界(ここ)に来たのか正気を疑いたくなる

元の世界と同じ暮らしがしたいなら、こっちに来なければいい。


私はツルギと一緒になって、こちらの世界で専業主婦をするという野望がある

身分は仕方ないとしても格とか必要とは思っていない

これはレインにも話していて、レインは

『じゃツルギ様のお友達あたりと婚姻を目指します』

軽いわね…いいのかしら?と心配にはなるけど

嬉しい一言だったのは確かだった

『扉が繋がっていれば帰ろうと思えば帰れますし、元々帰る意味はクレア様次第ですから』

私この子にそんなになにかしたかしら?ってくらい慕われているのが本当嬉しい



「クレア様そういえば新しい剣が届いていますよ?」

リビングでお茶(急須と湯呑)を飲んでいたらレインが金属の長箱を持ってきた

ちなみに箱と中身で結構の重さなのだけど、この子も結構力あるのよね

「どこからのかしら?」

箱はよく見る箱だけど…送り元が見覚えがない

「…綺麗ね」

開けると一本の鐔のない白鞘剣が入っていた

「機能的ではありませんね」

そうね、長もので直剣でこれは…刺突技が怖くて使えない

切れ味に自信があるのかしら?

抜いてみると…

「これは珍しい」

片刃の直刀

「…綺麗な刃紋、炎が舞ってるみたい」

ますます鐔がないのが残念でならない…拵えてもら…目釘も何もない?

「これ?なに??」

柄も鞘と同じで飾り気がない、目貫がない柄巻もないのに手に確り馴染む

「箱の中には他に何もありませんね」

添紙もなにもない…これは持っていていいものなのか悩む

「しかし、この箱で届いたのですから…」

そう、特殊な箱、私の借金の元でもあって、返済の要でもある

「ツルギ様に相談すればいいじゃないですか?」

それ良いわね!ツルギも変な…

「あ…お陰で似てる剣を思い出したわ」

ツルギの流派の剣に似ている

両刃の直刀大大刀、片刃の直刀大刀という私が魅せられた太刀とはまた違う更に古い刀

神話の時代の剣またはそれを模して作られた剣

「これは多分オリジナルの一本か今の時代に蘇らせた一本ね」

試しに魔力を軽く流す…バチッと小さな静電気(私の世界では妖精の悪戯と呼ばれる)の様な抵抗が起きる

「やっぱり」

普通の刀や刀剣はこれをするとすんなり魔力を通してその属性の色を浮かべる

弾くということは中にそれ用の何かがあるということ

私の国にあった聖剣魔剣というアーティファクトや古い魔導の剣には必ずある仕組み

今の時代には無い技術、それはこの世界でも同じと聞いているから…

「これ…絶対高いわよね」

「でしょうね、それだけこの国はクレア様を手放したくないのでしょう」


借金で繋がれるとかロマンがないわね


ツルギが居るからここに居るということをいい加減理解してもらいたいものね

ツルギがいなくなるのなら、借金なんか関係なく(()にでも請求してもらえばいい)私はここを出て行くつもりなのだから

なんだったら私の所有する剣を置いていってもいいと思っている


「さて、使えるようにしようかしら」

どちらでしようか持ち手を変えて見る…左ね

直刀を一度机に置き左腕の袖をまくるとレインが少し水を張った桶とタオルを持ってきてくれる

「ありがとう」

足元に置いてもらい、左手で直刀を持ち鋒は下ろし桶に向ける、意識して全身に魔力を均一に通していく

体の一部としての意識をしていく…右手指先を揃えて剣(手刀)をイメージする

「…」

指先を剥き出しにした左手の肘から先(前腕)に添えると軽く手首に向けて線を引くように引き下ろす、赤い線が引かれ

そのまま直刀に流れていく見た目ほど傷は深くない、そのまま全身に流す魔力を循環させていく

抵抗するというより固まった歯車を回すための、この世界で言うスターターみたいな感じ?

魔力を一定に巡回させていくことで体の一部のようにしていくのは私が古代の剣から学んだやり方だ

癖というかルーティンとして新しい剣には全てやるのでレインは最初は驚いていたけど今では慣れたものだ、血が床に落ちないようにタオルを敷いてくれている

思ったより馴染みやすい割に魔力が通りにくくレインが出血量を気にし始めたが、私の剣の師匠ともいえる古代の剣は子供の体に死ぬ寸前まで血を流させてくれた

今の血量を考えると…なかなかにすごい刀なのかもしれない

「あ…」

刀身の炎の刃紋の火の粉が赤燐として燃え上がる…そして炎が安定していくように…

「クレア様の綺麗な紫に…」

赤燐も更に毒素のない紫燐になっていく

「これはすごくいい剣だわ」

最初の印象と全然変わっていた、自分のものとなってよくわかる、私の所有している剣の中でも上位のもの

そんなもの送られてきても…嬉しいけど困る、高いのよこういうものって

「クレア様、最近お金に細かくなってません?」

「借金って結構嫌なものよ?先が見えないと」

私の私財で返せるか不安になってくるのよ、こういうアーティファクトクラスの物が届くと

「あら…綺麗な藤色になりましたね」

私の手当をしながら鞘に収まった直刀を見ると白鞘も薄らと紫が差し色になって綺麗な藤になっていた

「本来は赤で桜だったかもしれないわね」

日本人は桜が好きだから、私も好きだけど私は自分の魔力色に近い藤が好きだ

「瞳の色も落ち着きましたね」

レインが少し残念に言う、レインは私の素の色より魔力が通り少し赤が入った紫が好きだという

「私は茶色か黒になって欲しいわ」

そうすればこの世界に更に馴染みやすいにちがいない

比較的私はこちらの世界の英国人に近い

レインは…無いわよね水色の髪って??なので本人は銀色にしてしまった

認識阻害のアクセサリーをあげたのだけど

「メイド=黒とか茶色って何に影響されたんです?」

お気に召さなかったらしいけど、たまにつけてくれているから基本優しい子よね

でも…元は暗殺者なのよ?雇い主は言えないというから言わせないで潰したから路頭に迷う前に完全な専属にしたのよね

「どうして私なんか?正気なんですか?」

正気も正気だった、当時の私とはいえ古代の剣もちの私に止めをささせなかった強さ、暗殺者としては最高、つまり護衛にしても最強

更に潜入の為に侍女として雇われるほどの有能さ

「なにより、本音で話してくれる唯一の友人になりそうだから」

「…唯一は寂しいのでもう少しお友達は増やしましょうよ」

私のコミュ力は暗殺者仕込みなのよ?凄いでしょ


「直刀はいかがいたしましょう?」

「そうね、銘付けは…華…火…燐…紫…藤…」

思いつく感じを並べていく

「『紫華燐』で『ゆかり』にしようかしら…」

「では位置はあとでご自分で直していただくとして確かこの間空いた場所に入れておきますね」

レインが私が先ほどまでこもっていた書斎に入っていった

先日空いた…折れるというか割れたというか…惜しい()をなくしたのよね

紫華燐は大事にしないと…


私にとって剣は愛しいものだから



宜しくお願い致します。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 剣に詳しいんですね~、剣の話は好きなので楽しいです。でも、魔力で光ったりするんですね、もう普通の剣ではないですね、すごいなぁ!そして、新たな登場人物、侍女レインですか?魅力ポイント多し!楽…
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