アンタは私の召喚獣
お読みいただきありがとうございます!
不慣れですが好きなジャンルに挑戦です!
よろしければこの後も読んでいただければ幸いです!
「おい聞いたか?また武陵の龍が神奈川の族やったってよ・・・。」
「ウッソだろ、これで何個目だよ・・・。」
「聞いた話じゃ左手1本でやったってよー」
「ゲーまじかよ人間じゃねえそれー!」
「やっぱ、ルミネちゃんかわいーなー」
こう見えても俺は読書家だ、と言っても読めるのなんて漫画とライトノベルって言われる書物だけで、俗に言う文学なんてのは読んでるだけで退屈で仕方が無いのだが。
学ランをだらしなく気崩し、頭キンキン男の名前は澤岸 龍二 まぁ見てもわかる通りのヤンキーなわけだ。
「ルミネちゃんを守るためにはめちゃめちゃ強くならねーといけねえなぁ」
ルミネちゃんとは、龍二のお気に入りのラノベのキャラクターの名前だ。異世界召喚ものにハマっている龍二はそんな世界を夢見ている。
「龍二ーそんな所でまーたオタクやってんのかよ」
「ん?あー拓真か、俺の勝手だろ?こんな男だらけのムッさい学校での唯一の癒しなんだから邪魔すんな」
「お前そんなんだからいつまでたっても童貞なんだよ、そろそろ本の世界から飛び出してこーい?」
「知ってるか?深遠に落ちる感覚でその事思い浮かべると心の底に湧き上がってくるような感覚あるだろ?それが魔法らしいぞ?」
「はいはい、お前は勝手にそのまま30迎えて魔法使いにでもなってろ」
この坊主頭のイケメンくんは前田拓真、ギターとシュガーシガレットがお友達のまぁよくあるタイプの青年だ。
そう言うと拓真は先端から煙が出るタイプのシュガーシガレットを咥える、高校生だらね、決してタバコなんてことは無い。
ここは武陵工業高校。何かと喧嘩だらけ、男だらけのムッさい学校だ、校則も特に厳しくなく家からも遠くない、それでいて名前漢字で書くだけで受かっちまうもんだから俺の頭ではここ以外行けるところなんてなかった。
「あー中学時代ちゃんと勉強してれば今頃はJKとキャッキャウフフで、こんなヴォルデモート相手にしなくて済んだのになぁ。」
「うるせーちょっとヤンチャなロン、ナメクジ喰らえ」
「「アハハハ!」」
2人で顔を合わせて笑う。チャイムがなると2人はポッケに手を入れトボトボと教室に戻った。
「拓真ー今日ゲーセン寄って帰ろうぜ!湾岸やろーぜ湾岸」
「わーり、今日デートだわ」
「けっ、男の友情ってのは薄情だねー友達より彼女取るなんてよー」
「うるせーてめえなんてこの前居留守使ってずっとゲームやってたろ?窓に映る光でバレバレなんだよ」
「おーま、あれはだなぁ小梅ちゃんが俺の助け待ってたんだよ!!」
「うるせえスッパマン勝手にやってろ」
「スッパマンっておま!あんなケツか口かわからねえやつと一緒にするなよ!」
拓真が背中越しに手を振る
「ッケ!勝手にしろーお前いない間に埼玉制覇しちまうからなー」
不服そうな顔で1人でゲーセンに向けて歩き出す龍二であった。
パピューンドゴーンと、騒音が鳴り響くゲームセンターで1人ゲームに興じる龍二。
「やっぱ一人でやってもなんも面白くねぇなぁー」
ゲームに飽きてジュースをすする。
目の前に珍しい桃色の髪色の女性が映る。赤のドレスに似たワンピースを着込み、暗闇でも分かる整った顔立ちがなんとも目を引く女性。
「あ、ねえさんどっからきたの可愛いねぇ」
「今からちょっとご飯行かない?奢るからさぁ?」
ガラの悪い男達に絡まれて顔を顰める女性。
「ごめんなさい、あなた達のような小バエになびくような人間じゃないの」
「な、なんだと?このアマァ」
女はスっと息を胸いっぱいに吸い込むと
「誰かー助けてー!襲われるー!」
あたりの視線が一気に集まる。バツの悪くなった男達は顔を見合わせる。
「くっそがァ!顔覚えたからなぁ!後で覚えてやがれ!」
「ふん!自分より弱い奴にしかいきがれないヤツが偉そうにこくんじゃないよ!」
クソっ、と足早に散る男たち。
「顔は可愛いけどあぁいうタイプは好きじゃねえなぁ」
ボソッと呟くと龍二はゲームに戻って行った。
「結構いい時間になっちまったなぁ」
街灯の照らす、小道をだらしない格好で歩いて帰る。
ガシャン!フェンスの軋む音。
音の方向に目を向けると夜道に目立ちすぎる桃色の頭と、先程のガラの悪い男どもが5人、女を取り囲んでいた。
「さっきはよくもやってくれたなぁ!」
「まぁまぁいいじゃない、気の強い女性俺は嫌いじゃないよ?その強気な顔が歪むのをゆっくり楽しめるから」
「出たよ!鬼畜の菊池!おい!剥いちまえ!」
「男の人って怖い人いーっぱいいるんだよ?これからは気をつけなね?ま!これから怖さたくさん教えてあげるから!」
歪んだ笑いを浮かべながら女の服につかみかかる男達。
「ちょっとあんた達やめなさいよ!」
「いいねぇ!そそるじゃない!もっと喚いてよ!」
「いやぁー!」
カン
「アデ、」
ジュースの缶が一人の男の後頭部を小突く。
「男が寄ってたかってダサいんじゃないスかー?」
「誰だおめー」
「まぁそんなんいいでしょ、女の子嫌がってるじゃないですか、辞めましょ?」
「うるせえ関わってくるならお前も容赦しねえぞ。」
「バーカ。雑魚のテンプレみたいなセリフはいてんじゃねえよ、程度が下がるぞ」
「言っとけや!」
男が龍二に向かって、拳を上げる。それをフッと避けるとそれに合わせて左の拳を顔面にぶち込む。
「帰ってからやりたいことあるんだ、あんまり疲れたくないからどんどん来いよ」
男達が拳を振り上げ走り込んでくる。
これを1つ2つと交わしていくと、それに合わせて左の拳を男達の鳩尾へ縫い込ませる。
吐瀉物に顔を歪める、男達。
男はポッケからナイフを取り出し、街灯に照らされて不気味に輝く。
「喧嘩にそんなもん取り出すなよ、ダセェなぁ。そんなもん当たりゃしねえから来いよ。」
「死ねやぁ!」
ヒュンヒュン!ナイフが龍二の鼻先で空を切る。
避ける度に脚を相手の腹に軽く入れていく。軽くと言っても的確に急所を狙ってくる脚は確実に相手の体力を削っていく。疲れが顔に出始め男のナイフの手が大振りになる。それを余裕を持って避けると相手の顎下を思いっ切り蹴りあげる。
男の身体が宙を舞い、放物線を描きながら後ろに倒れる。
男の吐き出した血が龍二の顔を染める。
龍二が意識のある男に振り返る。
「お前、その学ラン、に血に染まる金色の頭。武陵の龍か・・・!?」
「別にそんな男臭いのにはなりたくないがな、呼ばれる伝説の勇者とかがいいんだよなぁ」
「やべえよ!デコピンで南商のトップやったってやつだろ!?殺される!」
「おまえら逃げろ!」
意識のない男を抱え男達はそそくさとその場をあとにする。
「なんだよその噂、俺はベ〇ータか。」
龍二は顔についた血を拭き取りながら口をとがらせる。
「あとあんた気をつけろよ、この辺は血の気多いやつ多いから1人であんま目立つ格好で出歩くなよー」
「あ、ありがとう」
女が物陰から街灯の下に歩いてくる。
桃色の髪に、青い瞳。整いすぎたその顔に龍二は呟く。
「ルミネちゃん・・・!?」
「へ?誰?」
「あ、ごめんごめん知り合いに似てたから!」
「フフフ、私は神宮寺芹那。よろしくお願いします。」
「お、おう。まぁそんなこんなで夜道には気をつけろよあぶねえからな、んじゃ」
「あ!あの!」
「ん?」
「お前をお聞きしてもいいですか?」
「あぁ、俺の名前は龍二、澤岸龍二。武陵工業よろしくな!」
龍二はニッと白い歯をみせ笑うと帰路に着く。
「武陵工業の澤岸・・・龍二・・・」
「見つけた。私の召喚獣」
芹奈は小さくつぶやくと、フフフと1人で笑いながら。その場をあとにした。
この後が波乱に巻き込まれていくが、龍二はこの時そんなこと知る由もなかった。
読んでいただきありがとうございました!
稚拙な文章でお見苦しいところもあったかもしれませんが改善点などあったら、遠慮なくメッセージよろしくお願いします!