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第51話 捜索

久し振りの投稿です。これからもちょくちょくして行きたいです。

 プシュー


 ガーディアンの移動手段である改造トラックが目標地域付近に到着する。付近は既に聞いていた通り、警察により規制線が張られていた。


 柊達の改造トラックが規制線に近付くと制服の警察官が制止してくる。周囲には機動隊の出動服や装備で身を固めた警察官も複数配置されていた。


 「こんにちは、狩人(かりうど)の人達ですね。所属を示す名前と顔が分かる物か立ち入り許可の書類は有りますか?」


 世間というものは新しいものが出来て、其れが生活の一部となってしまえば正式名称よりも略称や渾名(あだな)を付けたがる。嫌われものなら蔑称も出来る。


 柊達のような魔物を狩る事を生業とする人達は怪物駆除会社(または業者)が公式な名称だが、モンスターハンターやハンターといった横文字はゲームのようで現実味に欠け、その他の厨二病じみた名称は当人達の不評を買った。


 そこで、何処と無く妥協で狩人(かりうど)という呼称がいつの間にか官民問わずに使用されるようになった。


 「はい。こちら協会発行の立ち入り許可証になります」


 松浦が警察官にA4サイズの書類を渡す。受け取った警察官が書類に目を通しつつ署轄系無線機で確認をしている。


 その間、柊は周囲の様子を伺っていたが規制線のすぐ側にまで野次馬が集まっており、飛行禁止にされている筈だがマスコミ名の入った報道ヘリも複数飛び回っていた。


 「お待たせしました。ガーディアンの方達はこの通りの右側が受け持ち範囲です。位置が分からなくなったり、異常が有れば大きな交差点には必ず警察官が配置されているのでそちらに尋ねて下さい」


 柊達に声を掛けて来た制服警察官が、きっちりとした敬礼をして説明してくれた。


 「コボルトのおおよその位置はまだ判明していないんですか」


 柊が質問する。


 「協会からの警察をはじめとした関係機関への通報のおよそ10分後にこの付近の住人から2頭の怪物(モンスター)が徘徊しているとの110番が入りました。それから約1時間ですが発見には至らず、5頭全部が規制線内に居るのか判然としていません」


 警察官は特に隠すこともなく現状を教えてくれた。


 「了解です。目標を発見した際には警察にも警戒のためにも連絡が必要だと思いますが、電話による通報以外に何か手段を聞いていますか?」


 警察官は困ったような顔をした。


 「現場からは、狩人(かりうど)と警察の連携の為に一時的にでも通信手段を貸し出すべきではないか?という意見が出ているんですが上がなかなか許可を出さないんです。なので現場の警察官に直接伝えるか、電話による通報だけですね」


 「なるほど」


 柊も苦笑いで応える。


 「狩人(かりうど)が入るぞ!封鎖している車両を退かせ!」


 道路を塞いでいたパトカーが動いて改造トラックに道を譲る。井上がトラックを動かして規制線内に入る。


 「鎧を着るぞ。井上、手伝ってくれ。松浦はなるべく警察官の側で様子を見ていてくれ。状況に動きがあれば騒がしくなるだろうから、自分等に無線で教えてくれ」


 「了解です」


 「了解しました」


 改造トラックの荷台の中で柊が甲冑を井上に手伝ってもらいながら着込んでいく。柊の全身が全身金属鎧(フルプレートアーマー)に隠れる。


 『よし、出るぞ。井上は防具着用の上で自分の支援をお願いする』


 「了解です」


 柊の兜には通信機が仕込んであり、送信ボタンを押さなくてもマイクで話せるようになっているが、そのままだと他の2人が話せないのでいろいろと仕掛けやルールを決めて運用している。


 『まずは住宅地の捜索を行う。コボルトは基本頭が悪いみたいだから扉を開けて、また閉める、といった複雑な行動は取れないだろうから扉が開きっぱなしの家を探すぞ』


 『井上、了解です』


 視界の悪い柊を補う形で、井上がボウガンとショートソード、何かの革のレザーアーマーを身に付けて周囲を警戒しながら後ろに続く。


 歩き出して数分で柊は気付いた。


 『前方、右側の手前から3番の青い屋根の家。扉が勢いよく閉まった』


 『井上、了解。こちらも確認しました』


 『家を確認する』


 柊が門扉を開けて敷地内に進入する。井上が外壁を盾にして敷地内を警戒しつつ、道路にも意識を向ける。


 柊が窓から室内を覗く。すると玄関扉をノックする。


 「怪物(モンスター)駆除業者の者です。この地域には避難命令が出されています。我々と安全な場所まで行きましょう」


 柊がインターホンや呼び鈴を鳴らさずに声を潜めて呼び掛ける。すると小さな男の子と赤ちゃんを抱いた女性が出て来た。


 「すみません。子供の世話に疲れて眠っていたら逃げ遅れてしまって。わざわざ警察に電話するのも躊躇ってしまって」


 若い女性はそう言って申し訳無さそうにする。


 「自分は大丈夫ですよ。ですが、お子さんの事もあります。遠慮せずに110番して下さいね」


 「・・・・はい」


 柊は迷い無く110番通報をした。緊急ではない通報では#9110という方法もあるが今回は人命がかかっている。


 「・・・・・。○○市○○において発生中の魔物騒動に対応中の業者の者です。避難区域に逃げ遅れた方が居たので迎えをお願いします。住所は・・・・」


 警察の通信指令室から現場の警察官に対応してもらえるように要請をして柊は親子を連れて避難を開始した。


 途中で無線連絡で駆け付けた機動隊員に親子を任せてコボルトの捜索へと戻った。


  



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