第4話 変体
「う~ん。」
ガチャガチャと音をたて、柊巡査は目を覚ました。
「うん?」
しかし、たてている音が気絶する前の機動隊の出動服のものとは変わっていた。
まるで、金属で出来た鎧を纏っているような・・・・。
不思議に思い全身を見てみると絶句した。ファンタジ一のような展開が続いたかと思ったら今度は全身フルプレートメイルとなっていた。
まるで西洋の騎士のようである。
因みに着ていたはずの防具は辺りに散乱していた。
「どうすれば良いんだよ、コレ?」
柊巡査が途方に暮れているとあの鳴き声が現実へと意識を取り戻させた。
「ゴブッゴブ!」
そこには彼を追って来たのか、木のこん棒を持った1匹のゴブリンがいた。
しかし、そのゴブリンは、どことなく焦っているようにも見えた。
柊巡査には知る良しも無いが、斜面を転がり落ちた間抜けな獲物に止めを刺そうと来たは良いが、そこには自分達の世界の天敵たる騎士がいることにゴブリンは驚き狼狽していたのである。
焦るゴブリンを見て柊巡査は自分の装備、相手が1匹ということに勝算を考え始めた。
腰から抜いた剣は両刃のブロードソ一ド対して相手は木のこん棒である。
コレでも剣道二段である勝てないはずは無いと結論付けた。
「うぉぉぉぉっ!!」
剣を上段に構えゴブリンに対して突進した。
「やぁ!」
一太刀目は勢い余り地面まで降り下ろして地面を刺した、
「ギャギャギャア!」
面白そうに笑うと、それを好機とみたか、ゴブリンが駆け寄り前屈みになっている柊巡査の頭をこん棒で殴ろうとしたが、それは致命的だった。
「胴~!」
つい、剣道の掛け声が出てしまったが、地面から剣を引き抜くとそのまま横に薙ぎ払いゴブリンの腹を切り裂いたのである。
「グギャ!」
ゴブリンは一声呻くと動かなくなった。
それを確かめたら拳銃も効かなかった魔物を剣1本で自分が倒したという高揚感が湧き、何とも言えない気持ちが胸を満たした。
しかし、終わってみると事後処理をどうすれば良いのかという不安も心をよぎった。
兎に角情報を得ようとゴブリンの死骸に近付こうとしたところ、がさがさと複数の生き物が近付いて来る音が聞こえて来た。
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