第３４話 アキドンとの再会
ゲートを通る独特の違和感が終わると、そこは既に緑豊かな森の中であった。
「やあ、ウッド久しぶり！」
話し掛けて来たのは、ミラの知り合いのカラリアだった。他にもウトレアや、アトレアの姿も見える。
アトレアは相変わらず敵意の視線を送って来ていたが。
数人程ゲ一トの守りに残して、エルフに囲まれて、エルフの村を目指す。
アトレアは守りに残ったので、残りのエルフは皆友好的で、なごかやに道のりは進んだ。
エルフの村の門をくぐると向こうから砂ぼこりを上げて走って来る人影が見えた。
良く見るとエルフでは無く、以前に知り合った商人のアキドン氏であった。
「ウウウウウウッッッッドドドドさささ～～～んんんん！！！！」
アキドン氏が叫びながら走って来る。因みに、皆が柊のことをウッドと呼ぶのはヒイラギと言う発音が難しく、それなら、柊は木の名前なので、英語読みのウッドと言う渾名で通すことにしたのであった。
アキドンは近付いて来ると、いきなりジャンプして土下座を決めた！
「前回の取り引きは私どもの現金が無かったにも関わらず行って頂きありがとうございました。おかげで、街に戻り、商いをした結果、伯爵家の御用商人になることが出来ました！！誠にありがとうございます！」
そういえば、幾分か身なりが良くなっている気がするが、伯爵家とか大貴族が絡んできて大丈夫だろうか？
「これは、以前の代金の残りでございます！」っとアキドンが取り出して来たのは白金貨１００枚であった。
余りの高額にこの世界の硬貨の価値を聞くと、
白金貨→１００万円分位
大金貨→１０万円位
金貨 →１万円位
銀貨 →１０００円位
銅貨 →１００円位
鉄貨 →１０円位
ということが、分かったがあくまでも、この世界の価値であり、元の世界に持って帰ると金貨は５万円である。
つまり、物価が異世界の方が安いのであった。経済は専門では無いので松浦に良く確認しなければいけないが。
分かっているのはス一パ一等で数千円の調味料を異世界で売ると元の世界でも、家が建てられるということだ。
今回も、塩や砂糖、胡椒、ガラス細工を持ち込んでしまったが、大丈夫だろうか？しかし、既にアキドンの商人の目は、エルフや柊達の運んでいる荷物に釘付けである。
売らない手は無かった。
「ここここっこれは！！」
ガラス細工を両手で捧げ持ち、アキドンは叫んだ。
「金貨いや、白金貨でいくらするのか検討も付かない！？」
いやさ、それ、百均で買ったんだけどね。
「これも、また素晴らしい！！」
アキドンの絶賛はとどまることを知らなかった。
「ウッドさん、素晴らしい品々で用意した現金がとても、とても足りません。そこで、約束手形で宜しいでしょうか？」
約束手形とは、大商人や大貴族、国々が大きな取引を行う際に使用する信用を担保として大金の変わりとするものであった。
「今回の取り引きの額は、見積ったところ、白金貨１万枚となります。用意して来た白金貨は５００枚よって、白金貨９５００枚分が約束手形となります。宜しいでしょうか？」
５００万円相当の白金貨が取り分半分で２５０枚で１２億５０００万円、前回のお釣りの白金貨１００枚の取り分半分で２億５０００万円合わせて、１５億円。
更にそれが、増える。
一般家庭で育った柊には目眩いがするような金額となっていった。
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次回更新は５月２８日午前７時を予定しています。
