第30話 対立
「どういう積もりだ。」
柊は怒りをにじませながら問うた。
「どうしたも何も、あんたがヤバそうだったから援護した。で、自分達の獲物は自分達で回収してるって訳だ。」
悪びれる様子もなく、侍の代表者は宣った。
「ゴブリンどもは全滅間近だった。あんたらのやったは獲物の横取りだ。」
「それが事実だって証拠は?何処にあるかな?委員会にでも申し立てるか?止めとけ止めとけ、時間の無駄だ。」
侍の代表者は手のひらを柊を煽るようにヒラヒラと振りながら言った。
「どうせ、お役所仕事、ろくに調べもせずに次回からは気を付けるようにで、自分らは晴れてお役御免となるさ」
柊は、警察官時代を思い出しながら、奥歯を噛みしめた。しかし、開き直るように言った。
「確かに、あんたらの言う通りになるだろう。しかし、あんたらが適合者の居るガ一ディアンという組織に喧嘩を売ったという事実は残る。
その事は良く覚えておけ!」
それだけ言うと、柊はゴブリンの死骸の回収の為に待機班を呼び寄せるのであった。
侍はゴブリンの巣穴にまでは手を付けなかったのか、付けられなかったのか。
無傷で残っていた。そこではいくらかの宝飾品や錆びた剣などを手に入れた。
報酬の受け取りの為に市役所に行くと、数台の4WDと数人の侍のメンバーが市役所の駐車場にたむろっていた。
どうやら、報酬の配分方法で中で揉めているようだった。
もう一方の当事者である柊達が到着したことで、市役所の担当者が現れ、数時間の話し合いの後、7対3の割合で7割をガ一ディアンが受け取ることになった。
侍の交渉担当者は不服そうであったが、市役所側の担当者の一声で決まった。
ガ一ディアンの報酬は、市役所が用意した500万円のうち350万円と被害者遺族の報酬300万円のうち210万円の合計560万円となった。
また、異世界の物品の取り扱う取引所に今回の成果を持ち込むと
ゴブリン15匹 225万円
宝飾品 910万円
剣や工芸品 330万円
の合計1465万円に討伐報酬を足すと総額2025万円となった。
ガ一ディアンとしての総資産は税金を引いたとしても、3ヶ月足らずで一億円を突破する勢いであった。これに、異世界との交易が加われば、何処まで成長して行くのだろうか。
今回元自衛官が悪役ぽく出てますが、あくまでフィクションです。自分としては自衛隊大好き人間です。
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次回更新は5月20日午前7時を予定しています。




