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第16話 穏やかな日々

 オ一クの一件が街中で起こったモンスタ一による複数の被害者が出た事件ということで、中々事件は大きくマスコミで報じられた。そして、その筋の関係者の間では事件を解決したガ一ディアンの名が有名に成りつつあった。


 おかげで依頼が増え、出動回数も増えたが、ゴブリンの巣穴討伐やオ一クからの被害者救出程の依頼はなく、はぐれゴブリンやオ一ク、グリーンウルフの討伐などが続いた。


 グリーンウルフの討伐の際は、動きの速い敵に対してボウガンがどれだけ有効か井上と松浦に例の錬金術師から購入した鎧と特製ボウガンを装備させて柊が囮となって実験した。


 結果的にまっすぐに突っ込んで来たグリーンウルフに対して、井上のボウガンのボルトが頭に命中し、実験は一瞬で終わった。その分毛皮は良い値段で買い取られたが。


 手こずる敵もなく、適度に依頼が入って来る。ガ一ディアンの運営は順調と言えた。

 柊は依頼状に目を通し、井上は装備品の手入れをして、松浦は振り込まれた依頼料等の収支の計算をしていた。

 因みに当初井上の主張していた事務所の移転は行われておらず、相変わらずビルの2階が事務所である。


 これは、別に井上をないがしろにしている訳ではなく、3人で順調に業務が回っており、アットホームな雰囲気が出来ていたために事務所の拡張の必要性を感じなかった為である。



 そんな中、新しい依頼が舞い込んだ。


 「「害獣駆除?」」


 井上と松浦がハモって聞き返して来た。


 「害獣っても立派なモンスタ一だ。」

 

 写真付きの資料を取り出す。 


 「スタンプボア。その固い平たい鼻で獲物を押し潰したり、地面を掘り返して餌を捕る雑食性の猪のモンスタ一だ。

 最近全国的に出現度が増え、主に農作物に被害が出ているらしい。」


 「農作物だけなら、適合者が出るまでも無く、柵とかで対応出来るのでは?」


 松浦が、経理の担当者として現実的な意見を述べる。


 「出現度が増えていると言っただろう?で組合の研究者が食用としての可能性を追究したら、これが旨かったらしい。

 食用として売り出すことも、検討中の段階らしい。」


 「つまり、柊代表はスタンプボアの肉を食べて見たいと?」


 井上が質問するが、柊は否定も肯定もしなかった。


 次の討伐対象はスタンプボア狩りである。



 柊が選んだ狩場の依頼状は、事務所のある県内の山ノ谷町と云う町の農協からだった。

 スタンプボアの群れが住み着き夜な夜な畑を荒らして困っているという内容で依頼料は100万円と1匹毎に10万円の追加報酬というものだった。


 早速、山ノ谷町の農協を訪れて被害場所や出没場所の確認を行った。

 すると、ここ1週間同じ畑が連続して襲われていることが判明したことから、その畑に標的を絞り罠を張ることにした。


 深夜1時、3人で寝ずの番をし、鎧、特製ボウガン、暗視装置の完全装備で待機していた。

 一晩で全滅させることはできないと考えていたことから、少しずつ数を減らす作戦を予定していた。


 「ブヒブヒッ!!」

 

 張り込みを開始して間もなく、豚のような、オ一クのような鳴き声が聞こえて来た。

 特徴的な潰れた分厚い鼻、猪よりも大きな体躯、間違い無くスタンプボアの特徴である。


 「奴らも夜目は自分達程効かないはずだ、鼻が頼りのはずだから自分が斬り込んで混乱したら、それぞれ狙いを付けてボウガンで狙撃してくれ。」


 井上と松浦に指示を出すと、スタンプボアの群れを確認する。

 成体が6匹、子供が4匹の10匹が確認出来た。

 柊は上手くすると一晩でケリがつくかもしれないと考えていた。





誤字脱字報告、感想、評価、ブックマ一ク大歓迎です。応援宜しくお願いします。

次回更新は4月22日午前7時を予定しています。

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