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第1話 災厄の始まり

 それは1件の110番通報が始まりだった。

 「山口本部から下関、下関102」


 「下関です。どうぞ」


 「下関102です。どうぞ」


 「指令番号241、野犬の目撃情報。十数頭の野犬が登山口公園付近を徘徊しているというもの。通報は辻、男性。なお、通報は途中で途切れており、携帯に架電しても応答が無い。下関102貴局が1番直近である。至急直行し状況を確認されたい」


 「下関、了解」


 「下関102、了解」


 「以上、山口本部」


 県内系無線を置いた、地域課の配属2年目の伊藤巡査は、PC(パトカー)のハンドルを握る佐藤巡査部長に話し掛けた。


 「今日の夕食どうします?来竜亭のラーメン定食にしますか?」


 「それより、端末の設定と場所は分かったのか」


 相勤者で指導部長である佐藤巡査部長は伊藤巡査に注意する。


 「端末は設定済みで、場所は⚪⚪山登山道入口公園ですね。前に猿の出没情報で行った所です」


 「そうか。しかし、通報者と連絡が取れないというのが気になる。夕食は遅くなるかもしれんな」 

 

 「ええ!またコンビニ弁当ですか?交番の近くだから、顔覚えられて行きづらいんですよね」


 「仕方ない、それも仕事のウチだ。地域住民と顔見知りになっておいて損は無い」


 「それは、そうですけど。今回の通報はどうせ行っても野犬も居なくなってますよ。通報者もそれを見て帰ったんですよ」


 「そうかもしれんが、違うかもしれない。用心は必要だ」


 「分かりました。そろそろ到着です」


 「下関102から山口本部、下関、指令241現場付近着」


 「山口本部、了解」

 

 「下関、了解。尚、野犬の目撃情報である。装備資機材を活用し、受傷事故防止に務められたい」

  

 「下関102、了解、以上下関102」

  

 伊藤巡査と佐藤巡査部長は、PC(パトカー)から降りる。


 「通報者は、この公園に居るんだな?」  


 伊藤巡査は、携帯端末を操作しながら、


 「はい、無線でも、端末情報にもそう書いて有ります」 


 「車が何台か、有るな。伊藤、あっちから中を確認して来てくれ」

 

 「了解」


 5分程で、広い駐車場に点在する10台程の車両を2人で確認して行った。


 「こちらは異常有りません。誰も乗って居ませんでした」


 「こっちもだ。何かおかしいと思わんか?」


 「何がですか?」


 「こんな民家もコンビニも無い所にこれだけの車両が停まっているんだ。目的は登山だろう。けど、もう17時30分だ。下山するのには遅すぎる。無線で、野犬は居ないが、付近を捜索すると報告して来てくれ。通報者を探そう」


 「了解」




 伊藤巡査と佐藤巡査部長は、登山口まで行ったが、誰とも出会わなかった。

 しかし、佐藤巡査部長は長年の経験から、異臭を感じ取っていた。

 

 「伊藤、周辺の警戒を厳にしろ!」

 

 「何ですか?一体」


 「良いから、注意しろ!!」


 懐中電灯の明かりを頼りに、登山道を登って行くと、それは現れた。


 「さ、佐藤巡査部長!!」

 

 「何だ!?」


 伊藤巡査の懐中電灯が、照らす中に血塗れの人だったらしきモノが浮かんでいた。

 佐藤巡査部長は、ソレに近付いて行く。

 服装に体格からして、恐らく男性だったのだろう。

 伊藤巡査も腰が引けながらも近付いて来た。


 「通報者の辻という男性でしょうか?」


 「恐らくな、そこに携帯電話が落ちている。これは俺達だけの手に負えん。応援を要請するぞ」


 「しかし、署轄系無線では圏外です。PC(パトカー)に戻らないと・・・」


 すると、その言葉を待っていたかのように、近くの茂みがガサガサと揺れた。


 「誰か、そこに居るのか?!」


 伊藤巡査が懐中電灯の明かりを向けると闇夜に金色の瞳がいくつも浮かび上がった。








 

 

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