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偽りのイタチごっこ

「あの〜、すみません。旅の者で帰り方が分からなくなっちゃったんですけど、ご一緒させていただいてもよろしいでしょうか?」

俺は全体に響くように大きく、そしてなるべく丁寧に話しかけた。しかし、様子がおかしい。いくら呼びかけても返事がないし、姿も見えない。



「あれはただの幻覚だったのか?それよりとりあえず水を飲もう。」そう思ったとき、背後から忍び寄る影が砂漠の砂にハッキリとうつっていた。

やはりあの人影は幻覚ではなかったと思い、

笑顔を作って後ろを振り向いた。するとそこには、

『剣をこちらに向ける人』、『ナイフを持った人』、

『後ろから援護するようなかたちで弓矢をこちらに向けている人』、『いかにも格闘技をしているような図体のデカい素手の人』、色々ヤバそうな人たちがたくさんいた。



「もしや、襲撃者と勘違いされてるのか?…」と思った俺はもう一度問い直した。



「あの〜、すみません。旅の者で帰り方が分からなくなっちゃったんですけど、ご一緒させてッ!…」

俺が話していると、

先頭になっていた男にいきなり剣を向けられた。



「貴様、今、旅の者と言ったな?なら、なぜそんな小さな赤ん坊を抱えているんだ?妙だな、貴様。」

やっぱり誤解されているんだと思った。

ここは嘘をついてでも誤解を解かないといけないと思った俺は答えた。



「いや〜、この赤ん坊、実はですね。

さっき僕が遭難していると、なんかこの赤ん坊も

置き去りにされていたみたいなので可哀想だと思い

連れてきたんですよ〜!」…

よし!これで完璧だろ!



もし、「昨夜に拾った赤ん坊と僕の家で寝ていたら

目が覚めると砂漠の中にいましたぁ〜。」なんて事実を言っても余計に疑われるだけで

なんの説得力も無い、嘘をつくはめになってしまったがこれでひとまずOKだろ。



すると先ほど剣を突きつけた男がこう言った。

「ほうほう、そうかそうか。まぁ信じてやらんこともない、長旅ご苦労だったな。」



「きたきた!計画通りだ!この調子でこの集団に入り込んで砂漠を出られるまでは共にいよう。見た目とは裏腹に意外と優しいかもな。」

俺は安心しきっていた。これでようやく助かると…

しかし、こいつらは本当に俺に対して苦労だなんて

思ってはいなかった。



「たしかに苦労とは思う……が、しかし!

もしここで俺たちが貴様を助けてやったとしても

なんのメリットもない。むしろデメリットしかない。貴様とその赤ん坊、二人の世話までしてやるなんて面倒くさいことはお断りだぜ。ま、元々お前らの事情なんて関係無いんだけどな…結局殺すんだからなぁ!」

そう言うと、先頭の男が剣を振りかざしてきた。

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