大抵の仕事は引き受けます
それはそれは最悪な日だった。
朝から彼女には振られて、
ヘマして大学も退学、
そのおかげで親には見放されて
今は貧乏アパートで一人暮らし。
多分世界で一番悪運が強いであろう
19歳の白蝶 虎徹 (しろちょう こてつ)。
そのときは自殺でもしてやろうかと思った。
はじめのうちはアルバイトをしてなんとか生活できていたけれど、アルバイト先の店長とモメテ
今ではアルバイトもやめて
数ヶ月後…
貯金もそろそろ底をつく。俺の人生はこの先どうなるのか…すごく不安だった。
「そういえば、
今日は俺の二十歳の誕生日だったっけ?
まぁ、祝ってくれる人なんていないけどな…はは」
なんてことを一人でほざきながら
畳の上に寝っ転がると手の先に1枚の紙があった。
「クレーンゲーム、3回まで無料?
近くのゲーセンか…」
家にいても特に何もすることがない俺は
クレーンゲームをするために近くのゲームセンターへ行った。ゲームセンターなんていつぶりだろ。
[ゲームセンター]
「なんて人の多さだ…少し気持ち悪い。」
実際にはそこまで人はいなかったが
数ヶ月もほぼ家にいる俺にしたら十分なほどに
多く感じた。
「さっさと終わらせて帰ろう。
どうせクレーンゲームなんてとれずに
終わりなんだろうけど。」
やる前はそう思っていたが、やはり…やる前から
決めつけるのは良くないと改めて思った。
1、2回目はとれなかったが3回目で
今、小さい子供から中・高生まで、そこそこ幅広く
人気な戦隊モノのペットの
『ジョビビ君』のぬいぐるみがとれた。
「おぉ…ラッキー。」
こんなどうでも良いことだが、
やっと、今までの悪運の連鎖が
少しずつ崩れていくような気がした。
「よし、やることも済んだし帰るか。」
無料のわりには結構楽しめたので自分の中では
来た価値はあったと思った。
ゲームセンターを出て二十歳になって初めての
タバコを吸ってみたが、
俺はあんまり好きではなかったみたいだ。