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UNLOCK・DEATHGATE 作者:サグラダファミリア
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開かれざる門


 俺は夢を見ていた、女神がわちゃわちゃ話しかけてきて異世界に連れて行ってくれる夢。

 いい夢だな〜って思いながら体を起こしたら、自室じゃなくて川の中で寝ていた。下流なのか、寝ていても耳に水が入るほどじゃない。

「おかしいな……」


 ゆっくり体を起こして、一際大きな石に腰を下ろす。

 服は動きやすいランニングシャツとスウェットパンツだが、水を吸ったせいで重くて黒ずんでいる。

 家で寝ていたのに、こんな所に居るなんて寝相が悪いレベルじゃない。まさか夢の中で目が覚めたけどそれはフェイクで、これが真の夢?

 寝惚けた頭で勘ぐり、頬を抓っても解決はしなかった。寧ろジーンと染みる痛みに視界がぼやけた。



 辺りは木々に囲まれている。山におまけ程度に出来た川だとするのなら、下流に沿って歩けば街に帰れるかもしれない。

 街かどうかも本当に怪しいけどな。

 重い服を引きずって歩く事にした。靴を履いてないせいで足裏がゴリゴリと抉られていくのを感じる。






 激しい痛みに耐えてかなりの時間を歩いたのだろうか。足の裏は石を踏んだ跡でボコボコになっていた。

「痛てぇ……」

 長く続いた川は森に姿を変え、俺を石で拒む。土の中に埋もれた石は隠れた凶器となって俺の土踏まずを抉るのだ。

「あー!!」


 そんな石を踏んでしまった俺は森のど真ん中で叫んでいた。


 涙目になった辺りで草木を掻き分ける音が聞こえ始め、無意識に姿勢を低くする。

 しゃがむのは辛いから匍匐一択だ。

 多分、クマだろう。死んだふりじゃなくて、見つめ合わないと行けない。

 それは俺の鼓動を大きくさせるには十分だった。





「うわっ!」

 身を潜めている間に、ガサガサと草木を掻き分けて現れたのはクマではなく緑色のでかい人だった。

 でっぷりとした腹に、ゴツゴツとした筋肉。腰には枯れた草のスカートを巻いている。

 俺と目が合うや否、嬉しそうに涎を垂らした。

「うわぁ……」

 俺は思った。

「ンゴ?」

 ファンタジーで見かける敵じゃん、と。

「俺は美味くないからな……食べれねえぞ!」

 来た道を帰るように全力で走る。石を踏んでしまわないように、細心の注意を払いながら!

「ンゴー!」


 しかし。


 振り返ると敵はクラウチングスタートの姿勢を取っていた。


「なんで綺麗な姿勢なんだよ!!」

 めっちゃ腕を振って俺の後を追っているのは見なくても理解出来る。

 俺はこんな状況になったからなのか、夢を思い出した。女神が何か凄い能力の話をしていたのを覚えている。

 その女神の顔はあんまり覚えてない!

「アンロック……アンロック……何だ?」

 かなりカッコイイ名前だった。思い出せたらこの状態を打開出来る!

「思い出せ……デス……」


 ゲート?


「ンゴ!」

「そうか!」

 俺は足を止め、走ってくる敵の方に向き直る。腕を振って全力疾走だった相手も気づいたのか急ブレーキをかけた。



「降臨せよ!」

 実際に降臨するかは分からないが、痛いセリフを口走りながら右腕を左から右へ振り払う。



『アンロック・デスゲート』



 吹き荒れる闇の渦が門を形成していく。

「ンゴ?」

 完成された漆黒の門は、敵の眼前で開いていく。まるで、青と黒が入り交じった煙に押し開けられるように。


 ギ、ギギ……。


 放たれる闇の魂に耐えきれなかった門は、歪な音を立てて一気に開かれた。

 俺は知っている。かつての英雄アーサーとか出てくる召喚だと!

「頼む……」


 欲を言うなら。俺が大好きな警官のコスプレをした美少女とか!


 俺の期待は、門の軋む慟哭と共に大きくなっていく。


 出てきてくれ!!




『――()い空気だと関心はするが』




 そこには、何の色気も感じさせなければ覇気もない……ただのおっさんだった。






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