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5 絶品トスカ料理

雄大な自然に囲まれたここレフィアンの料理は、素材の持ち味を最大限に活かした郷土料理だ。

『トスカ料理』と言われるそれは、元々農民たちが作っていた簡素な料理のことを指す。    

地元でとれた新鮮な食材をそのまま使用し、塩、胡椒、オリーブオイルや香草などで味付けをされた豪快な農村料理の数々。脈々と受け継がれてきた味は、どこか懐かしさを感じるトスカ文化の味。歴史の残る土地ならではの単純ながらも温かく、深い味わいがそこにはある。


「おまちどうさま」


先ほど席へ案内してくれた人の良さそうなウェイターが、僕たちの前に料理を運んできた。大きなトレーに乗せられやってきた料理たちはみな湯気を上げており、見るからに美味しそうな見た目にその味への期待を大きく膨らませてくれる。


にんにくとトマトのパスタ、ラザニア、トスカ風ステーキ、インゲン豆のスープ、揚げパン・・・と、順番に机に置かれていく料理たち。


待望の料理を前にしたルゥは、はやくそれらを口に運びたそうな風にそわそわとしている。今か今かと飛び出しそうな少女は、心なしか獲物を刈る獣のようなオーラを漂わせていた。


「可愛い旅人さん、どうぞお料理楽しんでね」


机に料理を並び終えたウェイターは、優しい微笑みを残し席を離れる。


「ありがとう」


優しい言葉を受け取り、感謝の言葉を発するやいなや、すぐさまフォークとナイフを手にして料理に齧り付く腹ペコ少女の姿が僕の目の前にはあった。


「っ・・・・・・!」


最初の一口を口に含むと、言葉にならない喜びの声を上げるルゥ。

次から次へと、料理を口に運んでいく少女は極上の微笑みをその顔に浮かべている。表情豊かな方ではないルゥが見せる最上の喜び表現。不器用ながらも全力で料理を楽しむ少女の姿は、見てるこちらまで思わず微笑んでしまうような魅力に溢れていた。


続けて僕も、ステーキ、パスタ、スープ・・・と口に運んでいく。


口に広がるのは、素朴ながらも洗練された味。シンプルであるからこそ心を振るわせる、力強くも優しさに溢れた味。鼻孔をくすぐるスパイスの芳しい香りは素材の持ち味を損なわないままに高め、口の中で心地よいハーモニーを奏でる。


僕は決して料理通という訳ではないがこの味は間違いなく、誰が食べても感動する素晴らしいものであると思う。そう思うほどに美味。疲れた身体に、旨みが染み渡っていく。


「大満足。とても美味しかった」


普段からあまり多くの量を食べることを必要としないルゥは、僕よりも先に料理を口に運ぶその手を止めた。


二つ結びの銀色の髪がご機嫌そうに左右に揺れている。どうやらトスカ料理は、彼女におなかいっぱいの幸せを与えてくれたようだ。


それからしばらくして、目の前の机に並んだ皿はその中身を全て失い、逆に僕たちの腹はその中身を幸せで満たした。完食。レフィアン最初の食事はとても有意義なものであった。



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