修羅場を終えたら片づけましょう
目が覚めると真上に咲の泣いた顔があった。泣いてても可愛らしいなオイ、というのが最初の感想だ。男なんだその辺はしょうがない。
………て…あれ!?!?連れていかれてないの!?!?あいつはなんか、えっらそーなこと言ってたけど!!?
「おにいさんは無茶をし過ぎです…」
泣きながら俺の顔を撫で、涙声でそう言う。
あーあ、なんかなぁ…体張って見る顔が泣き顔かよ…。何故ここにいる云々とかどうでもよくなったわ。俺は真上にある咲の頭を撫でながら思わず言う。
「なあ咲…。笑えよ…。俺はお前の笑う顔のためだけにこんだけ馬鹿やったんだぜ?」
「……本当にばかですね、おにいさんは…」
涙を溜めたまんま、膝枕をされている俺に嬉しそうに笑顔を向ける少女はもう夜の星にも負けんばかりに輝かしかった。
そうして時間は立って宮内家ダイニング。俺は晩飯をご馳走になっていた。やっぱり美味いな咲良さんの飯。
「私はしばらく本家の方に行って蹴りをつけてくる」
なんかそういう言い方すると本家ぶっ潰してくるみたいで物騒ですね。と言いたいが怖いからやめよ…。
「その間、咲はお前に預ける!」
「ぶっふぉ!?!?」
「はい!よろしくおねがいします!」
折角の出汁が効いた味噌汁を吹き出す。
「あーあ、汚いなぁ、人んちだぞ考えろよ、こーすけ」
「おにいさん、汚いですよ」
「んなもん誰だって吹くわ!!!?」
「あんだけ啖呵切ったんだから責任とれよなー」
「ちょ!?」
言わないで!!本人に聞かれたら恥ずかしすぎて死ねるから言わないで!!
「えーと確かなんて言ってたっけなー」
「わかりました!!預かりますから!!」
とまあこんな顛末だ。やっぱり何回思い出しても締まらねえなぁ… 。
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「~俺があいつを幸せにしてやる!!」
わたしは近くの通りの茂みに隠れていました。あの時は動揺していましたが、冷静に考えると家の場所が知られているので待ち伏せされているはずです。
わたしに出来るのはおかあさんに連絡をつなげることくらい。あの人がボロボロになる度に胸が締め付けられます。
「いい啖呵を切るじゃねえか康介!!」
おかあさんが来ると同時にあの人は倒れてしまいました。わたしは思わず駆け寄ります。
あの人はとてもボロボロで、不格好で、私の目にはとても格好よく映りました。頭が痛くないようにわたしの膝を枕代わりにして、顔を覗き込みます。顔もあちこちが腫れていてとても痛そうです。その顔を撫でながら、わたしは思わず涙が出てきます。
こんなに無茶をして…こんなに頑張ってくれて…わたしのために何度も立ち上がってくれて…。色々な感情がごちゃ混ぜになって、目から零れ落ちます。
「康介は寝てるのか」
おかあさんが肩を回しながらこっちに来ました。
「いやぁ、家の前にもなんか連中がいたから全員のしてたんだけどさ、連絡くれて助かったわ。ありがとな、咲」
とても優しい声で、とても暖かい手でわたしの頭を撫でてくれます。この人と同じようにとても暖かいです。
「にしてもこいつもいい男だなぁ。もしも旦那がいない昔の私だったら惚れてt「だめだからね!!」…」
思わず口を突いて出た言葉でわたしは顔が熱くなるのを感じます。おかあさんはニヤニヤしながら
「やっぱり私の娘なんだな。」
すがすがしく優しい笑顔でそう言いました
…ようやく回想編が終わりました。いやぁねぇ…長いわ!当初の予定の3倍以上の量だわ!!むしろこれが本編に思えてくるわ!!!筆者でこの感想なのですから読者からするとさらに長いんでしょうね…。
まあそれはさておき読んでいただきありがとうございます!
これからもつたない分ながら頑張って行こうと思うのでよろしくお願いします。