お隣さんとは暴力的に平和です
そんな訳で買い出しの帰り道、時間的にそろそろかな?と思った俺は小学校のほうへ足を向けた。
…やべぇ、この言い方、変質者感が丸出し過ぎる。いや頼まれたからだからね?喜々として言ってるわけじゃないからね?
本当は咲良さんが付きっきりで行きたいのだそうだが、調べなければいけないことが多くらしく、しばらくは帰るのは夕飯前くらいになるそうで…、まあそれが終わるまでだ。
咲良さん曰く、咲の情報は家がバレただけで顔とかはバレてないから、しばらくは大丈夫なそうなんだが…。
あー…もう正直に言うわ、あの娘がどんな娘か気になって話してみたいから、こうして向かってるんだよ、満足かバカヤロー。だって手当てしてくれた優しい手つきの印象しかねーんだもん。『印象が優しい手つきだけ』って、もはや完全な変態だしな。もうちょっとあの娘について知りたい。
そんなことを考えながら歩いていると、咲がちょうど友達と別れるとこを見つけた。一人になり寂しそうにとぼとぼと歩いてるところに声をかける。…字面が犯罪者だけど気にしないぞ俺は!!
「よう、咲さん。今お帰りで?」
「あ、軍馬さん、こんにちは」
「俺も丁度帰りでさ、良けりゃ一緒に帰りませんか。」
「微妙に敬語出来てませんよ?」
ふふっと小さく笑いながら少女は言う。うるせー、痛いとこ突くんじゃねー…。敬語の加減が難しいんだよ。
「そういや今日学校はどうだった?」
「いつもどおり楽しかったです。」
「ふ~む、俺はそのいつも通りを知らないから教えてくれるか?」
特に嫌な顔もせず楽しそうに話してくれる咲は、きっと本当に学校を楽しんでいるんだろう。今日は何を習っただとか、勉強のことすら楽しそうに話しやがる。その笑顔が眩しくてついつい『そうかそうか』と頭を撫でてしまうのは仕方ないよな?。あー髪気持ちいいなちくしょー。だけどすぐ離さないと、ばれたら死ぬ。社会的にじゃなくて物理的に。死因はパイナポー。
「なでられるのは嫌いじゃないです」
手を離したら予想外の言葉が返ってきた。嫌いじゃないという割にはかなり残念そうな顔をしている。あーもう、おまえのかーちゃんにチクるなよ?。
「そうかい、なら続けさせてもらうよ。こっちも撫で心地は良いからな。」
そんなゆったりとした空気のまま、また明日も迎えに行ってもいいかもな。そう思いながら隣まで咲を送り届けた。
ピンポーン!
夕飯を食い終えゆっくりとしていると、来客を知らせる音が鳴った。うん?入学式までは時間があるが、親父でも来たかね。警戒せずにドアを開けるとそこは暗闇だった。
あれ、部屋の、前の、照明、切れてたのか、これ、大家さんに、言っとかないとな。
「お前‼‼何‼咲の頭気軽に撫でてんだこのやろぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!」
「あでででででちょタンマタンマこれマジでやばいなんか耳から汁的なものがあがががががががが。」
「おかあさん、待って待って、軍馬さんがヘンな色になってる」
「なんで咲がお前に頭を撫でられたことを嬉しそうに話すんだよぉぉぉぉ!!!!」
俺が知る訳ねーだろ!!!!
予想外に咲との出会いの回想が長くなってます…。咲と咲良さんが楽しくて結実を出したいけど、なかなか出せないという…。どうしたもんでしょうか、別にロリコンじゃないのに。
それはそうと読んでくれてありがとうございます。
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