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平々凡々な俺は修羅場に憧れる  作者: 生方 形
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平和な日常は修羅場からできている

 下宿を始めて2週間が経った。

 案外住んでみると住み心地は悪くなく、食費も比較的安いし、家事も量が多い訳じゃないので慣れれば苦にもならない。

 親父がフォローしてくれたのか、俺と結実との仲も元通りになったのか、2日おきで連絡が来る。何か困ったことがあれば頼って欲しいとやたら強調するので、料理や掃除など家事について結構助言してもらっている。

 こっちがメッセージを送ればきっかり30分後には返信が来るので、助かるもんだ。

 買い物についても付近のスーパーを教えれば、『ここは何が安い』とか『〇〇を買うならこっちの店がいい』とか教えてくれてかなり家計的に助けられている。何なら料理のコツだとかレシピだとか家事についてとか、高校2年生が何で知ってるのかと疑問を抱くような技まで教えてくれる。

 いやマジでなんで主婦レベルの知識あるの?女子高校生ってみんなそういうもんなの?

 お前の友達が家庭科で作ったお菓子もらったけど、あれは悪い意味でヤバかったぞ?

 アレが特殊なだけなのか。結実みたいに見た目で衣類を分けて洗濯できるのが普通なのか。


 正直に言うと料理が面倒くさいのと、部屋の使い道がないのが当面の問題ではあったんだろうが、なんだかんだで解決している。随分とお気楽な生活なもんだ。

 そもそも衣類については、普段着は分けるほど種類もないし、飯だって大抵焼けば何とかなる。


 とか考えていたころが懐かしい。


「何か考えごとですか?おにいさん」


 リビングでのんびりとそんなことを考えていると、洗濯物を畳んでいた手を止めて、二つある部屋のうちの一つの主である少女が俺の顔を覗き込みながらそう聞いてきた。母親譲りか少し長めの奇麗な黒髪が揺れる。

 やっべ、二人で分担してんのに俺だけ全然畳めてねーじゃん。あれ?てかスカートってどう畳めばいいんだ?まぁ適当に丸めとけばいいか。

 そう思いながら落ち着いた色のスカートをくるくると筒状にしていると、


「人の服で遊ばないでください」

 

 …いやスカートの畳み方がわかる男って少ないと思うぞ?うん。


 いや、別に犯罪に手を染めたわけじゃないからね?おにいさん無罪だからね?

 この娘は宮内 咲、近所の小学校に通う少女だ。いやほんとに犯罪じゃないから…。確かにロリは嫌いじゃないけどさ…。あくまで兄貴としてね?兄妹愛的なね?

 色々訳あって一緒に暮らすことになったお隣さんの娘だ。10歳という年齢の割にはかなりしっかりしている。料理が面倒くさいのと部屋に使い道がないのは、この娘のおかげで見事に解消した。ただし衣類の洗濯問題は発生したので実は結構、結実に感謝している。

 

 まあ俺の甲斐性も解消したけどな…。要するに俺は妹よりも年下の子に飯を作ってもらってるわけだ。…いや流石に食器くらいは洗ってますよ?


「で、何かなやんでることでも?」

「いや宮内さんは妙にしっかりしてんなぁと思って。」

「かた苦しいので咲でいいです、というかだらしないおにいさんの言い方に”さん”付けは似合いません」


 随分と言ってくれるもんである。まだうちに来て数日なのに、俺という性格を完全に見抜かれている。

 あっれぇ?おっかしいなぁ…頼れる兄貴分として振る舞おうと思ったんだがな…。

 そんなことを考え、くまさんのイラストがプリントされたパンツを手に取りながら、俺は咲が来ることになった日のことをぼんやりと想う。

読んでくれてありがとうございます

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