当の本人以外の苦労
徐々に仕事に余裕が出てき始めたので修正はじめました。
あと学生時代書いたもので文章が恥ずかしい。
とりあえず俺は、この春から一人暮らしをすることが有無を言わさず決定したことにより、その準備のために自分の部屋に戻ることにした。こういう時の諦めは早いほうだ。
正直一人暮らしは悪い気はしない、せいぜい楽しんでやるさ。そう思いながらなぜか呆けている結実の横を通り過ぎ、バタンとドアを閉め、自分の部屋への階段を上っていく。
「ふぅ…。どうにか説得できたわね。」
「あぁ…。全くどうなることかと思った。」
様々な意味合いを込めて夫は溜息をつく。これで本題を解決できたのだから彼自身の問題がスルーされることを期待してだ。
「協力してくれても、この本の件は無罪にはしないから。」
見逃されるわけはなかった。
「…はい、罰は受ける所存でございます。」
一悶着落ち着き、放心した実の娘の様子を見ながらこそこそと夫婦は話す。
「正直私も結実がブラコンだとは思わなかったんだけどね…。」
「いや…正直、俺もピンと来てないんだが…。」
「…昔から鈍感だったけど、よくも今まで気づかなかったわね…。」
「いや…鈍い自覚はあるけどさ…でもどうして今更…?」
「密かに好意を抱く分には平和でよかったんだけどね…。」
それを見つけたのは数週間ほど前だった。結実の部屋で掃除をしていると、妙な小瓶を数個見つけた。薬品名は書かれていないが、成分は書かれていたので調べてみると。
単純に言うと辛うじて合法ではある、というか脱法よりの『強力な精力増強剤』『強力な睡眠薬』『興奮剤』と呼べるような代物だった。
そしてそれと同時に見つかった物が
「でもこの写真はもう…アウトよね。」
「…アウトだな。」
康介が明らかに盗撮されている写真だ。
先程言った『野獣と餌を同じ家に置いておけない』は、康介には『野獣=康介 餌=結実』と伝わっているだろうが、正直なところ『野獣=結実 餌=康介』が本音だった。
ちらりと夫婦は未だ放心している娘を見る。
((血は繋がってないって言ったらさらに大変なことになる…。))
二十歳になるまでに康介に伝えていなかったのが幸いしたのかどうなのか。面倒事になったのは間違いない。ただ康介なら結実相手に隠し通せる筈も無いのでまだマシな判断だったと信じたい。
夫婦は放心する娘を見ながら揃って頭を抱えた。