都合のいい神に仕立て上げられた生贄の少女 その2
獣の王ロリコン疑惑
第92話 都合のいい神に仕立て上げられた生贄の少女その2
奴隷の少女がここに来て2カ月が過ぎた。
「王様~」
「んっ? どうした?」
獣の王は玉座に座ったまま答える。
というか、玉座から降りたところを見た事が無い。
「王様は、いつも座ってるけど、ずっと同じところで飽きないの?」
少女が知らないだけで、身動きしているのだろうか。
「うんど~不足になっちゃうよ」
少女がその言葉を覚えたのはこの城に来てから、獣の王の膝の上でたくさん食べさせてもらっていたら側近の魔人がそうやって獣の王に苦言していた。
「運動不足か…。私も走り回りたいけど、約束があるからな…」
「約束~?」
「そう。結界の話は聞いてるかい?」
「うん。知ってる。獣の王は生贄の代償に悪いモノからこの地を守っているでしょ。きょ~かいで聞いたよ」
「教会?」
「うん。生贄の勇者様を祀ってるきょ~かい」
誇らしげに答えるとおいでと手招きされる。
「じゃあ、勇者と獣の王の約束は聞いてるかい?」
「う~ん?」
首を傾げて考え込む。
「勇者と私は結界を張る約束をした。その結界の維持の方法は、私。もしくは私の次に王になる者。そしていつかは現れる勇者が――しないといけない」
抱き上げて告げる。
「私が玉座から降りたら結界が弱体化してしまうんだ」
だから降りれないんだよ。
優しい口調。
「………王様。勇者って?」
「………人が私達に苦しめられていると判断したら作り出す絶対的な強者。かな」
「王様は苦しめてないよ」
「そう言ってくれるのは嬉しいけどね」
どこか遠い目。
「………森の王は勇者に倒された。自然豊かな環境が発展を妨げてると判断されて。冥府の王は先代が死んだ事で死者が行くべき場所を見失い死霊が生者を襲い続けて、代替わりした事でその混乱も間もなく終了するだろう」
「王様…」
悲し気な眼差し。
「すぐではないけどね」
私もいずれ勇者に倒される。
「――話は逸れたね。生贄の勇者との約束は私が結界を維持をする。その間座り続ける私の退屈を紛らわせてくれるのが生贄なんだよ」
「紛らわせる?」
「うん。――ラシェルはいつも私好みを選んでくれる」
撫でる手。
「王様の好みって?」
「そうだな。魂がね。私にとって面白いモノ。かな」
奴隷として、虐待されていたのにその心は綺麗。生贄としてささげられたのに待っていたのは贅沢な暮らし。
「王と言う後ろ盾があるから復讐をしようと考えてもおかしくないのにそんな事も思いつきもしないし。贅沢もしない」
貪欲に求めない。
「つくづく王とは真逆だね」
難しい話だった。でも、
「だって、ほわほわで楽しいもの」
優しい王様。その側近。誰も傷付けない。柔らかい日々。
「来て良かった」
生贄になって良かった。
それは、まだ、平和なひと時。
暗雲が訪れるのを誰一人知らなかった……。
ちなみに生贄の少女は12.3歳ぐらい。この当時は




