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諸事情につき、勇者ハーレムの中にいます  作者: 高月水都
獣の王と竜の王
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情報交換 

過去話よりも先に出来てしまった………。

  第90話  情報交換

 宿には全員入れないから。

 その判断の元。魔法少女と戦った場所――魔力のたまり場に集まったのは人が来ない場所――巫女と女騎士は入りたくなさそうだった。魔力が無い者は耐性が無いと言うのはこの事だったのかと勉強させてもらった――。


「――改めて自己紹介しよう」

 龍の長男が告げる。

「我の事は、ヴィントと呼んでもらおう」

「ラントな。龍帝の次男。このヒトの弟だから」

「………ナーゲル。妹です」

「えっと、その、末っ子です。ヴァッサーと呼んでください」

 硬い挨拶の長男と長女。軽い感じの次男。緊張してびくびくしている末っ子。

 それが龍達の自己紹介だった。


「………勇者だ」

 本当にこいつら龍かと疑いつつも好奇心が隠し切れない勇者。

「女騎士だ」

 自分より強い相手である長男に敵対心を持ちつつ、その強さを学びたいと思っている自分に呆れたように苦笑いをする女騎士。

「…………巫女ですわ」

 不承不承と言う感じで、そっぽ向く巫女。

「魔法少女だよ♡ あの鱗ありがとう」

 勇者を助けられたのは鱗のおかげだと愛想よく告げる魔法少女。

「…………すごく貴重なものだったよね」

 ああ。それに気付いたのか。だから、他の三人と違って礼儀正しいんだな。納得、納得。

「新庄真緒です。真緒って呼んでください」

 許可をしたから、呼べる。そう言外で伝える。

「――話は何でしょうか?」

 さてと遅くなった茶番劇をしましょうか。

                *

 勇者の暴走を一時的に封じた後。勇者のハーレムが居ない隙を付いて人目のないところで――アカネとリムクラインを見張りに置いて――龍帝の子供達を集めた。

「”獣の王の話が歪んで伝わっている?”」

「”そう。私がサボっていたのも原因だけど。結界の事とか、私が亡くなった後の対処法とかまったく伝わってなかったんだ”」

 そのせいでこの大惨事。

「”後継者の事は私の一存じゃ決められないし、欲があるモノが次の王になる決まりだし。龍帝みたいに王が生まれるまでの繋ぎとして子供を作ってなかったし”」

 いくら魔王の子でも魔王にはなれない。せいぜい魔王が現れるまでの繋ぎ。代理人。それでも、魔王になったと錯覚してしまう危険があるので、龍帝は子供を一人で終わらせなかった。

「”………原因は? もう分かっているんですよね”」

 尋ねられて、苦笑する。

「”まあね”」

  魔王わたしは人間を甘く捉えていたというか人間と言う種族を知らなかったというかそんな原因だ。

「”………大兄様? この方は?”」

 会った事が無かったので一人だけ蚊帳の外になっている末っ子が尋ねるが、

「”お前は知らない方がいい”」

「”何故っ!?”」

「”《水琴》”」

 反論しようとした末っ子を冷たい口調で止める次男。

「”逆鱗を渡した者に嘘が吐ける?”」

 冷静に告げる長女。

「”………吐けません。龍は逆鱗を渡したモノの味方である誓い。そのモノを裏切れません”」

「”なら――”」


 知らない方がいい。


 そう告げられて、口が出せない隙に話を進める。そして――。

                *

「勇者は魔王の結界をどうするのか尋ねに来た?」

 と龍帝の意思を伝えつつ、情報を交換させる流れを作り出したのだった。


 


次こそ過去話…。

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