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諸事情につき、勇者ハーレムの中にいます  作者: 高月水都
獣の王と竜の王
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本音――根源

勇者。初心に帰る

  第89話  本音――根源

 自分が人間の勇者であると同時に彼女は魔物の勇者だと女神ユスティに告げられて、

「…………騙していたんだ」

 と最初に思った。

 非力の振りして、ずっと騙していたのだと――。


「魔物の勇者…ねえ」

 呆れたように新庄は告げる。

「で、私を殺すつもりなの?」

 余裕綽々な態度。

「その女神は湯島君を殺すつもりなの?」

「はあ!?」

 何を言ってるんだ。

「だって、そうでしょう。湯島君の性格なら私を殺した罪悪感をずっと引き摺って生きていくだろうし、元の世界に戻って、私の話が出るたびに自分を責め続ける」

 そんな事ぐらい分からないのか。

 そう断言する。

「新庄さん…」

「それとも、勇者の剣で魔物の勇者の力だけ消せるなんて、チ-トな技があるとでも?」

 そんなの有ったら漫画の読み過ぎだと告げられる。

「………新庄さん」

「と、まあ。これが私の本音」

 ここからが問題。

「湯島君。最初にした質問。もう一度していい?」

「えっ!?」

 最初にした質問?

 ・・・・・・・・・・

「湯島君はどうしたいの?」

 どうしたい?

「俺は…」

 どうしてこうなったか知りたい。

 

「魔王を倒して、閉じ込めていたと思っていたのが侵略者を防いでいた」

「うん」

「魔王と言う存在で一つに纏まっていたのがばらばらになった」

「うん」

「侵略者は現れる」

「うん」

「魔物は個々で暴れていて脅威は変わらない」

「う~ん」

「………俺のした事は間違っていたの?」

 巣食う不安。

 そう。

「………俺は勇者だ。勇者は魔王を倒して、世界を救うのに」

 救った筈の世界は救われてない。


 俺は勇者なのに。

 どこかで間違えた?

 間違えない。

 だって、俺は勇者だ。


「………」

 じっと考え込んでいる湯島を見守る。

(ようやく、自分の内側を見れたか)

 一歩間違えると再び斬り掛かられるかと冷や冷やしたが。

(さてと、これなら大丈夫だろうか)

 すっと、窓の外を見る。


 リムクライン。

 アカネ。

 龍帝の子供達。


(さて、どれを使って城まで案内させるか)

 彼がどう選択するか分からないが、案内は必要だろう。


「………」

 魔王わたしの力が弱まっている。

 次の魔王がどんな欲望を持って魔王になるか分からないが、布石は打たないと――。

 それに、


「”ユスティ……。私を、世界を恨んでいるのか”」

 女神ユスティ。その名前を少しずつ思い出してきた。

 そして、

 獣の王と呼ばれ、人間と共存をしていた関係に終止符を打たれたのは。

 ユスティと呼ばれた少女がきっかけだったのも思い出した。

 



龍帝の話はそろそろ終わりだけど、その前に過去話を入れよう。

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