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諸事情につき、勇者ハーレムの中にいます  作者: 高月水都
獣の王と竜の王
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傍観者

タイトルのわりに龍組の話

  第88話  傍観者

 窓の外。

「”獣の王は何を考えてるんだ?”」

 勇者と接触しようとした次男が口を開く。

 龍帝の子供達は今、宿の外の大木にトカゲサイズでくっ付いている。

「”欲望は溜め込むと育ちやすい。口に出させているのだろう”」

 長男が説明する。

「”でもあの女神が素直にさせると思えない”」

 直接会ったからの呟き、

「”そんなに厄介なんですか?”」

 長女が首を傾げて訪ねてくる。

「”ああ。高位の者は話しか知らないけど、自分の価値よりもいかに遊びを面白くするかの方が重要みたいだったぜ”」

 子供のような不気味さがあった。

「”………周期通りだったら獣の王ではなく、親父様が魔王として討伐されて居たはずです”」

 末っ子が告げる。

「”周期が狂ったか。気紛れか…。それはともかく《水琴》”」

 次男が末っ子に声を掛ける。

 ぞくっ

 びくびく

 末っ子は言われる事の内容を悟って膠着する。

「”逆鱗を渡してどうするつもりだった”」

 怒っている。

 いつもはひょうひょうとしていて、怒るのは長男が多いが、怒らせて一番怖いのは次男である。

「”………ぼっ、僕は!!”」

 反論しようとしたが、無言の圧力で封じられる。

「”逆鱗は生涯この者なら命を預けられると感じた者に渡す”」

 一番多いのは伴侶。

 次は親友。

「”逆鱗を渡す相手を間違えると不幸が起きる。かつて、逆鱗を渡した人間が龍殺しの英雄と呼ばれ、龍の半数を死に至らした歴史があるだろう”」 

 逆鱗を貰ったらその龍の力も自分の力として使える。

 龍を支配下に置く事もできる。

 逆鱗狙いで龍の伴侶を狙う者が多く、龍の怒りを買った歴史もある。

 伴侶によっては逆鱗を渡さないために、逆鱗を持って海に身を投げたという物語もある。

 

 それ故、渡す方も慎重に、受け取る方も覚悟が居る。

 

 龍の命を握る。龍の半身。それが逆鱗を渡された者の役割。


「”それを説明せずに、覚悟もなく、渡すなんて…”」

「”ですが、小兄ちいにい様!!”」

「”お前は世界の均衡を崩したいのか!?”」

 言い返そうとした末っ子を封じ込める一括。


「………」

 言い返そうとした言葉は封じられる。

 次男の言いたい事は理解している。

 自分が逆の立場だったら同じように責め立てただろう。


「”《大地》止めれなかった我らにも非がある”」

 長男が口を開く。

「”末を責めるな”」

「”大兄様……”」

 弟の口論を止め、

「”もし、災いになるのなら、我が、全力で、止めよう”」

 宣言。

「”………分かりました”」

 兄様が言うのなら。

 責める口を止める。


「”兄様方…”」

 口論に加わらずじっと窓の中を見ていた長女が声を掛ける。


 窓の中では勇者が、魔物の勇者と発言したのが届いていた。


ラント「この逆鱗がのちの不幸の始まりだった…」

ヴァッサー「不吉な事は言わないで!!」

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