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諸事情につき、勇者ハーレムの中にいます  作者: 高月水都
獣の王と竜の王
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英雄願望

本音で話そう

  第86話  英雄願望

 勇者が目を覚ましたのは泊まっていた宿屋だった。

「………俺は?」

 どうしてベットの上に居るんだろう。確か……。


『勇者。騙されてはいけません』


 そうだ、女神ユスティが現れて……。

「新庄さんは……魔物が用意した魔物の勇者だって言っていた……」 

 信じたくないが、新庄さんは敵………。


「それじゃだめだ…」

 俺は、女神の言葉を信じたくなかった。

 いや、

 判断するにも自分には分からない事が多い。


 魔物は悪だと教わった。

 魔物を操る魔獣使いも悪だと。

 でも、そうじゃないと知ったばかりだ。


 そう、知っていたのに――。


 女神に言われて最初に思ったのは、裏切られた。騙されたという想い。

 無力を装ってずっとこちらを探ってきたのかと――。

 こちらを油断させて倒すつもりだったのかと――。


 そして――。


 英雄と…勇者と呼ばれるのは一人でいい―――。


 新庄と共にこの世界に来た時に、何も力が無い新庄を巻き込んでしまったという罪悪感と共に、無力な彼女に安堵していた。


 自分が唯一の勇者。


 ここは自分の思い通りになる世界――。


 尊敬され、褒められ、称えられ――。

 誰もが自分を肯定する。


 ここは自分にとって理想郷――。


「理想郷か……」

 そんなはずはなかったのに――。


「英雄願望………」

 声がした。

「新庄さん…」

 そこには新庄の姿。いや、

「みんな……」

 ベットの近くの椅子で眠っている巫女。

 扉を背もたれにして眠っている女騎士。

 床で横になっている魔法少女。

 その三人にはそれぞれ毛布が掛けられている。


「看病疲れだよ。もう一週間眠ったままだったし」

 一週間………。

「一週間って……」

 一体、何が……。

 

「新庄さんに斬り掛かって……」

「思い出した?」

 そうだ。三人は必死に止めていた。

 殺すなら私達がするからって…。

 あれっ?

「………なんか記憶がおかしい」

「……………………多分その記憶はあってるよ」

 脱力したように新庄は告げて、

「――この世界に来てからまともな話してなかったね」

 まともな話……。

「してなかったっけ?」

「………二人で話す機会が無かったからね。この世界でも、元の世界でも」

 元の世界。

「……正直。本音で話してなかったからその英雄願望が強くなったかもしれないと思うんだよね」

「英雄願望……」

 そう言えばさっきから同じ言葉ばかり出ている。

「どれから言った方がいいのか迷うけど…、異論はあるかもしれないけど、はっきり言う事にする」

 真っ直ぐこちらを見て、

「私は貴方の事が嫌いです」

 ……………そう言う様に誰かに言われたのかと耳を疑った。



 





まだまだ話はこれからだ

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