龍の鱗と魔法少女
まだ、リム合流できず。(´;ω;`)
第84話 龍の鱗と魔法少女
鱗と言われて、魔法少女が首を傾げる。
「鱗…?」
何それ?
そう口に出さない呟きが聞こえそうになったので、
「すごくいい素材だよ」
と簡単に説明した。
今まで、龍が居ないところだったもんな~。知らないか。
納得、納得。
でも、その説明で納得して使用してくれるか心配だ。
「…………」
魔法少女が迷うように視線を動かしている。
視線の先には必死に勇者を止めている女騎士。
勇者を落ち着かせる為に――実は逆効果なのだが真実を知らなければそうなるよな――鎮静の力を使用している巫女。
うん。巫女。必死なのは分かるけど、勇者をああしたのって女神だから意味ないよ。
そんな巫女に失礼な事を思いつつ、魔法少女の行動を見ていると、かなり迷っているのが伝わってくる。
「………本当に?」
尋ねる声。
「本当に勇者を戻せるの?」
勇者の剣が――何者にも影響を受けない無敵の剣が――あのような状態で自分の術が通じるのだろうか。
そんな不安。
「――成功率を高めるために一番力を持つ鱗を渡します」
びくびくと怯えつつもそう提案して、
(んっ?)
一番いい鱗?
「ちょっと、待ちなさ~い!!」
慌てて止める。
「何を考えている。水琴」
ほら、お兄さん達も止めるでしょうが、
「大兄様。それが成功率を高める方法です。僕は末なので、大兄様たちのような影響力はありませんよ」
にこやかに告げて、首元に触れる。
「使ってください」
そっと差し出される藍色の鱗。
「……」
じっと魔法少女がそれを見て、
「――信じてみる」
受け取る。
鱗は魔法少女の手に渡ると。巨大な力を出現させて、魔法少女の力を増幅させる。
「勇者!!」
魔法少女が叫ぶ。
「目を覚まして―――!!」
大きな力の奔流。勇者に向けられた想いを吸収して、魔を倒す。勇者の武器――勇者の剣。
どのような作用でああなったか分からないが、女神の手で歪んでいた力が、魔法少女の想いを吸収して、本来の力の戻っていく。
「”湯島正樹”」
その魔法少女に合わせるように、名を呼ぶ。
「”その力封じる!!”」
目覚めかけていた勇者の………湯島正樹の中にあった魔王化していた力に強硬な蓋をする。
その場しのぎだ。それは理解している。
「”高位の者……”」
ヒトの…勇者の魂も遊ぶつもりか。
怒りを宿して、見えないのは分かっているがきっと空を睨む。
―――新庄真緒は自覚してなかった。
かつて、興味があるモノ達を群れにして守り、そのモノ等と話したいと言う欲が魔王に進化させた。
その根本が今も根付いており、彼女は無意識に勇者一行は自分の群れと言う認識であった。
それ故、勇者にした所業は彼女の怒りに触れたのだった。
鱗には秘密があります




