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諸事情につき、勇者ハーレムの中にいます  作者: 高月水都
獣の王と竜の王
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勇者の仲間

今まで、ハーレムハーレムって呼んでいて悪かった気がして… by真緒様

  第83話  勇者の仲間

(おかしい…!?)

 女騎士は勇者の剣を受けながら考える。

 勇者に剣を教えたのは自分だ。そこから勇者が独学でいろいろアレンジしたとしても今の戦い方は自分の知っている勇者の戦い方と違う。


「勇者」

 呼び掛けるが返事は無い。

 聞こえてないのだ。

「勇者!!」

 再び呼び掛けてみるが、やはり返事は無い。

 勇者は一体どうしたと言うのだ。


(なんで…!?)

 巫女は動揺していた。

 魔王を倒せる聖なる剣。

 聖剣。勇者の剣。

 そう呼ばれている剣は、唯一であり、絶対。

 何者にも悪用されない。神聖な物。

 そのはずだ。

 なのに、

(あの禍々しさは何なの…?)

 剣の刀身に宿る力――巫女は知らないが人々の祈りの力――が何時もの洗練された清浄な力に巧妙に隠された――どこぞの魔王にははっきり見えているが――異なる力。

 あれが勇者の精神を操っている。

「女神の力は何物にも不可侵のはず…」

 巫女は、女神に妄信的だった。それゆえ、せっかく本質を見抜けているのに、女神と言うフィルターがあるので正解には辿り着けない。


 そんな中。


「ねえ。貴方♡」

 魔法少女がこちらを向いてくる。

「勇者がどうなっているのか。貴方なら説明付くよね♡」

 ニコッと笑っているけど、無邪気に見せた猛禽の笑み。

「……」

 確かに、私なら説明付くけど、説明しても信じないと思う。

「――リ=パイシャン・コルクシェイラ」

「はいっ?」

真名まなを持って貴方を信じる」

「……」

 真名を明かすのは良しとしない。敬愛する者に呼ばれるのは信頼の証。格下に呼ばれるのは侮辱に等しい。

 それプラス。魔王わたしの名を呼ぼうとしたら同格か格上じゃない限り、狂い死にする。

 名前と言うのはかなり重要視している。


 その名前を告げたのだ。

 魔に近い。危険行為なのを一番理解している魔法少女が。 

 ただが、説明を聞く為に――。


「……」

 なあ、勇者。

 私はお前が苦手だ。

 正直怖い。

 魔族として、魔王としての魂がお前に怯えている。

 でも、

 お前の仲間は、お前の事が好きなんだな。

 

「――剣を媒介にして、何者かが勇者を操っている」

 その何者かは、この地で信仰されている女神その者なのだが、今言っても信じないだろうな。

「操るって、勇者を!?」

 そんなの出来るわけが…、

「勇者の剣は勇者を信じて、勇者の力になりたいと祈る人々の想いが力に変質している物だ。勇者に向けられた思いが形になるという事は勇者には悪いけど、それ以外の心にも反応する事もある」

 何でそんな事を知っているのかと言われたら言い逃れできないなと思いつつ、

「その心に引き摺られている」

 …………それだけではないのだが。そこからは説明しにくい。


 魔王化という物だ。

 もともと勇者は魔王と同格。

 魔王と呼ばれる――まあ、地域によっては精霊王とか龍帝とか冥王と呼ばれてるが、そんな魔王わたしもかつては獣の王と言われてたし――存在は、幾つかの条件でそれになる。

 勇者は今現在。その条件に一番近い。


 だけど、女神を名乗っているのなら自分の勇者てごまをわざわざ魔王に進化させるだろうか。

 そんな事をしたら自分の信仰が弱まるだけだろうに。

「”こういう時は冥王あたりに聞いてみればいい意見を貰えるけど…”」

 あいつは愉快犯だしな。


「――どうすればいいの?」

 訪ねてくるが、それは答えられない。

 どうしてああなったのか分からないのだ。


「勇者に向けられた祈りが変な…祈りではない何かによって勇者を洗脳しているんですね?」

 今まで空気になっていた龍の末っ子が口を開く。

「魔法少女さん。僕の鱗は魔法道具に向いてます」

 魔法少女に向けて、

「貴方の想いを増長させて、勇者に届けてみませんか?」

 いい考えだなと思いつつ、それって、なんの勧誘? と言いたくなったが、取り敢えず。口は閉じておいた。




今見たら、ブックマークが100件になってました。みなさまありがとうございます。

迷走していくかもしれませんがこれからもよろしくお願いします m(__)m

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