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諸事情につき、勇者ハーレムの中にいます  作者: 高月水都
まだ旅出てないよ
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接触

魔族のターン

「新庄さん。大丈夫?」

 勇者が特訓(?)に参加してない二人と暇があるのかいう王女と姿を現す。


「勇者♡ どうした?」

 本日は、魔法少女の特訓である。


 ――何かするたびに。


「へったくそ~♪ こ~んな簡単な事も出来ないんだ~」

 とか。


「子供でもできるのに♪ もしかしておっきいだけのお子さま☆ だったの?」

 などとか。


「ごめんなさ~い。つい手加減忘れちゃった♡ てへっ」

 と言われて、水が襲ってきたり、髪がアフロになったり、いろいろされている。


「心配になってね。 パイシャン。無理させてない?」

「勇者心配しょ~♪ そんなに信用できない?」

 うるうる


「そうじゃないけどね」

 なでなで


「じゃあ、信用して口出さないの!! ぷんぷん」

 子供らしさを最大限に利用した行動に他の女性陣が怖い。


(茶番だ……)

 知らぬは勇者(当人)のみ。


 子どもの様に妹ポジションで甘えながら勇者の見えないところで舌を出してあっかんベーをしている小娘。


 それに殺気立つ。勇者パーティーの残り二人と王女。


 醜い女同士の争いが水面下で行われているが、それに巻き込まれた方は堪ったものじゃない。


「……」

 実は、この魔術の時間が一番辛い。


 とっさに魔力を使用してしまいそうになるのを抑えているのが実情だ。

「あの時確認しておいてよかった…」

 ぼそっ

 誰も自分に注目していない。


 ………みんな勇者の方に視線を送っているからな。


 だから、少しだけ気を抜く。あくまで少しだ。勇者のおまけとして連れてこられたんだ。多分表に出てこない者達からの視線はバリバリ感じる。

 まあ、それに気付いてない。無力な女子高生のふりをしなといけないのだが……。


 はぁ

 溜息を吐く。


 クーを創り出さなかったらとっくに使用してばれてた。

 その事に安堵しつつ、このままだと隠し切れないと判断する。


 怒りと言うかここまでいろいろされていたらプッツンキレて魔力出しちゃいそう……。

 その前に発散しないと――。


 それにしても誰も自分に注目していない。

 ここがチャンスだ。


(クー。案内して)

 声に出さずに命じると、気付かれないように慎重に慎重に、自分の精神を二つに分ける。

「……」

 よし、成功。


 今、私の眼にはテレビの二画面のように視えている。

 一つはこの勇者ハーレム。もう一つは、クーに案内されている。


 こうやって魔力を消費――微々たるものだが――しとけば限界が着て暴走と言うのも多少は抑えられる――あくまで多少だ。


 それによそ事していた方が気持ちが落ち着くって事あるし。



「あれっ?」

 別れた精神――クーに付いて行っている方は静身体なので人の目には映らない。

 正直、魔術師とすれ違ったが誰も気付いてない。

 そんな状態で案内されたのは……。


「牢屋……?」

 クーに案内されて向かっているのはどう見ても牢屋にしか見えない。

 こんな所は、犯罪者とか、罪人が入る所で、魔族が居るとは……。


(あれっ?)

 ここ術封じがしっかりしてある。


 まず壁。石畳。天井。鉄格子。

 血を思わせる紅い染料で術封じが描かれている。


「これ、古代文字だ」

 まだ残っていたのか。


「”もはや、知識として残ってないと思ったけどな”」

 呟く声が知らぬ間に古代文明の言語になっている。


「”誰…ですか?”」

 古代文明の言語に反応したのか、それとも私の魔力に反応したのか。牢屋の向こうから声が届く。


「”分かるだろう”」

 声の主の居る牢屋の前に立つ。


 姿は違う。声も何もかも。

 だけど……。


「”私の事は”」

 私の魂は。魔力は変わってない。

 その声に牢屋の中にすし詰め状態に入れられていた魔族が平伏しようとするが、


「”……取りあえず。狭いから辞めたら?”」

 しまった。魔王様らしく偉そうにしようと思ったのに威厳も何も無い言い方しちゃった。と、悔やんだが、幸いにも気づかれてなかった。



容疑者の弁明

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