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諸事情につき、勇者ハーレムの中にいます  作者: 高月水都
獣の王と竜の王
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掌で踊らされた者

客人は勇者と真緒様のところ以外にも来てました

  第71話  掌で踊らされた者

 とある開けた地。

「――嘆かわしい」

 吐き捨てるように告げられるのは勇者の供であり剣の師匠である女騎士。

 彼女はぼろぼろの状態で地面に倒れている。

 何故………。

 信じられない。こんな、勇者の供として魔物を倒した自分がやすやすと倒されるなんて……。

「踊らされた者の末路はこんなものか」

 もう興味はないとばかりに去って行こうとする男。

 話は少し前に遡る。


「――貴方が獣の王を倒した者か」

「………獣の王?」

 とは、なんだ?

「知らぬとは、嘆かわしい」

 女騎士の前に現れたのはたくましい外見の男。

「知れてこその勝利に華が添えられる。無知は身を滅ぼす」

 淡々とした口調。

「それで勇者の供か。……偽りの英雄と言えばその程度か」

「――何だと」

 ぴきっ

 剣を構える女騎士。

「その口効けぬ様にしよう」

 かつて国一の騎士と謳われた。 彼女の剣で男を一瞬で倒せる。

 …………そう思っていた。

「――言っただろう」

 男の手が人のモノから鱗に包まれた鋼鉄のような硬い代物に変化する。

「無知は身を滅ぼす」

 剣は当たっていた。いや、当たりに行ったのだと女騎士は悟った。

 駄目だ。

 悟ったからこそ。

 勝てない。

 と判断してしまう。


「………」

 今まで勇者と旅をしてきて勝てないと思った事は多くあった。でも、その場合は戦略的撤回と言う手段を取れた。

 でも、今は……。


「これが、掌で踊るために作られた英雄か。……父上が我らを向かわせるわけだ」

「父上……?」

 この男を向かわせた?

「父上とは…、魔物の生き残りか何かか」

 人ではない。それは判断できる。では、魔人か。

「………」

 男は答えない。

「……………かの王は人を甘やかし過ぎだ」

 ぼそりと呟く声は辛うじて耳に届いたが、意味は分からない。

「英雄の一人がこうならば、他の者も期待外れか。――兄弟達も残念だろうな」

 兄弟?

「まさか、勇者達にも…」

 こいつのような者が向かっている…!?

「くっ!!」

 向かおうとするが、身体が動かない。

 私が手も足も出ない相手だ。

 仲間を信じてない訳ではない。だけど、補助メインの巫女や戦闘経験は浅い魔法少女にこの男の兄弟が敵うとは思えない。

 それに、勇者。

「あたしの仲間に…」

 動け。

「手を出すな!!」

 動け。

 動いてくれと、想いが人を動かすなら叶えてくれと想うのにピクリとも動かない。

「……………今まではその思いで動けたのだろうな。人形として」

 淡々と意味が分からない声が紡がれる。

「可哀想に」

 男の目に宿るのは同情。

「――あにさん」

「用は済んだか?」

 女の子の声がした。

「終わった」

 ぽいっ

 放られたのは、ぼろぼろになった巫女。

「神の名を呼べるのに、人の名は呼べないのはなぜかと理詰めに迫ったら信仰心が揺らいだ」

 後は簡単だった。

「じゃあ、残りを連れてくるだけか」

「弟は時間掛かるけど、小兄さんなら遊んでから来るでしょう。本命に向かってるし」

 本命。

 それが、勇者を指しているのは言われなくても察した。 



巫女の倒された話は書くのが面倒だったので飛ばしました。

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