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諸事情につき、勇者ハーレムの中にいます  作者: 高月水都
獣の王と竜の王
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悔恨

ハーレムお姉さま二人がメイン

  第65話  悔恨

 女騎士は日が昇る前から剣を振るう。

 はぁはぁ

 強く激しく。そして、どこか迷いのある。


「………」

 彼女は自身を責めていた。

 勇者の役に立つために行動を共にして、魔王を倒した。そして、今回の旅にも付いてきた。

 それなのに、魔人だと気付かずに捕らわれて利用され掛けるなんて……。


 魔獣使いがいなければ助からなかったと後で知らされ、しかもその魔獣使いを殺してしまったと自分を責めている勇者に何も出来なかった。

 慰めの言葉も出ないし言う資格もない。

 

 その悔恨で剣を振るう。

「………」

 強くありたい。

 もっと。

 もっと。

 ………勇者の仲間として足手纏いにならないように――。

              *

 別の場所。

 神殿で必死に祈りを捧げる巫女が居た。

「………」

 神の御心のまま。勇者を支え、導こうと思っていたのにこの体たらく。


 魔人が変装していたのに気付かず、捕らわれて足手纏いになった。

 しかも、別の魔人と魔獣使いがいなければ助からなかった。

 後から見付かった情報で、人工の魔物を創り出す計画だったのを知って戦慄を覚えた。


 怖かった。

 自分が魔物に成ってしまうかもしれなかった事。そして、成らなかった事に安堵して犠牲者の魂の行方を調べなかった自分を。

 ………………………………気付けなかった自分が。

「………」

 冷静に落ち着いてから人工的に魔物として作り出そうとして失敗したので使用したという壁に向かった。

 巫女として魂の救済をしないといけないと考え――それで失点を取り戻そうとして――向かったのだが。


 怨嗟の念は残り香のように感じられた。

 この街に入った時は気付かなかったのにはっきりと。

 しかも、それが残り香だと言うのもはっきり分かってしまう。

「……嘘」

 何者かが先に浄化したのだ。

 魂の行くべき場所に導いた痕跡。………神に仕える者しかできない御業。そこの残されていたのは上級の魔物らしき気配。


 魔物が浄化できる事を知らなかった。

 魂を何かに利用しようとしての行動にしてはあの浄化の後は清廉に感じた。

 魔力から感じたのは祈り。

 ……もう苦しまない様に――。


 巫女としての誇りはズタズタだった。自分は女騎士や魔法少女のように戦えない。せいぜい、補助のみだ。

 二人に対してコンプレックスを抱いていたのをひた隠ししていた。

 自分しか浄化できないから。回復とかは巫女の本分だから。そうやって、出来る事を見せつけてきたのに……。


「女神ユスティ。私はどうすればいいのですか……」

 せめて、人を殺してしまったと自身を責めるあの青年を救いたい。でも、私には方法が分からない。

 私は……………。

 神に祈れば迷いが消えると思っていた。でも、いつもの様に迷いは消えない。

 それでもただ祈るしかなかった。



「私の出番はどこ行ったのよ!! 私は主人公の筈なのに」 by真緒様

 すみません。魔法少女とお待ちください

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