表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
諸事情につき、勇者ハーレムの中にいます  作者: 高月水都
魔王になりたい者
68/290

警告

今回出ている真緒様は別の真緒様です

  第64話  警告

 精神の図書室。

 かつてラーセルシェードであった新庄真緒。その存在が自身の精神を落ち着かせるための情報の場として作り上げた空間。

 そこに常にいるのは、魔王であるラーセルシェードと人間の新庄真緒。

 そこに新たな存在が入り込んでくる。

「おや…」

 ラーセルシェードは驚きの声を漏らし、

「うわわ!!」

 新庄真緒は喜びの声を上げる。


 現れたのは白銀の狼と老いた馬。

 魔族になる前の姿。


「――お久しぶりです。いえ、初めまして。我らの始まり」

 かの狼がいなければ魔族として――魔王として存在しなかっただろうと敬意を持って挨拶をする魔王。

「本当に狼なんだぁ~!!」

 興味はあるけど――なんせもふもふだ――狼は危険と認識しているので遠巻きに見ている真緒。

「………」

 そんな真緒に気付いて、狼はそっと近付き、

「わっ!?」

 何もしない。そう伝える様に、手を伸ばせば触れられるぎりぎりで寝転がる。

「………」

 優しげな眼差し。慈愛に満ちたその姿。

 それこそが魔王になった狼の本質。

 そっと、真緒は触れる。

 硬い毛並み。でも、お腹の所は柔らかい。

「気持ちいい…」

「………」

 狼は何も言わない。ただ、かの者は群れの長として、自分から派生した人格もまた群れとして認識しているのだ。

 やがて、狼は人に通じない意思を魔王の人格に伝える。

「高位の者が動き出した…」

 ラーセルシェードはその言葉で青ざめる。

「どうしたの?」

 真緒は狼を撫でながら不思議そうに首を傾げ、

「そう言えば高位の者って、………何者なの?」

 そんなに恐れるものなんだろうか。

「………」

 真緒の問い掛けに、ラーセルシェードは、告げるのを躊躇うが、

「……………神の事だ」

 と教える。

「ふ~ん」

 人間である彼女はそれが恐ろしい存在だとは理解しているが、八百万の神がいる日本で生まれ、育ったので神は居るだろうなと思ってはいても認識は甘い。

「正式にはかつて魔王。または、勇者と呼ばれていた存在が神に進化したと言えばいいのかな」

「へぇ~」

 なるほどと呟いて、 

「んっ?」

 何か妙な事を聞いたような……。

「かつての魔王と…勇者?」

 何で対局の存在がそれぞれ神になっているの。

 そう問い質したい真緒に、

「落ち着け」

 とラーセルシェードは頭を鷲掴みする様にすると、

 びくうぅぅぅっ

 と怯えて遠ざかる。

 実はそっちゅう近付くとそればかりしていたので――本人からするとコミュニケーションのつもりだった――警戒して近付いてもらえなくなったのだ。

「で、よ。それで、いったい…」

 狼は声無く告げる。

「………新たな…高位の者?」

 狼はかつての自分の滅びを客観的に見ていた。それゆえに、

「……高位の者は勇者。または魔王が自分達と同格になるのを見たがっていた…」

 その理由は分からないがなと告げる狼。

 そして、

「なら、どうして、《私》が現れたんでしょう」

 異世界で転生している自分。

「……」

 答える者はいない。

 

 実は高位の者もそれに関しては分からなかったのだ。










主人公は次回出るかな

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ