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諸事情につき、勇者ハーレムの中にいます  作者: 高月水都
魔王になりたい者
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新しい………

前半勇者。後半真緒様

  第61話  新しい………

 事件は一段落付いた。

 領主の屋敷。領主に報告するために勇者は倒れて医務室に運ばれた領主を訪ねに来た。

「まさか……。かの者が……」

 領主の手元には自分の娘の婚約者が作り上げた研究データがある。

 人と魔族を融合させて、新たな魔族を創る研究。

 そして、自分の私兵が使用していた鎧はその成功体だった。

「信じられないのも無理はありません……」

 婚約者の姿は見付からなかった。

「おそらく、あの魔獣使いによって計画が中断されたのでしょう」

 魔人と共に居る姿を見た。そして、魔人と協力して人々を救出していたのも捕らえられた人々から報告を受けていた。

「……」

 その報告を受けた時、見えないハンマーで殴られた気分だった。

 人々は婚約者に扇動されて、魔獣使いを迫害した。その間に婚約者は逃げて行ってしまった。

「……」

 そして、とっさの事とはいえ、魔獣使いを殺してしまった。

「……………………」

 勇者だと崇められて煽てられて、この様だ。

 人殺しだ。

「見えてなかった事が多かったな」

 ぼそり

 新庄の事もそうだ。

 異世界に来て、振り回されて、それでも気丈で、弱いとは思っていた。でも、実感してなかった。

『帰りたい!!』

 叫んで号泣していた姿。

 あの魔獣使いを知り合いだと言っていた姿。


 巻き込んだのに守れなかった。

 魔獣使いかもしれないと言うの憶測でフィルターを掛けていた。

 

「俺サイテーだな」

 領主の面会が済んで、外に出るとついそんな言葉が溜め息とともに出てしまう。

「勇者なのに、知らない事が多すぎる…」

 これじゃあ、何も守れない。

「……」

 自分の心とは裏腹な空を見上げて呟いてしまった。 

                  *

 その頃。

「いい天気だな」

 街の外。騒動が起こった事すら伝わってない静かな空間。

「さてと」

 人気はない。

「”我が名ラーセルシェードが祝福を与える”」

 クーとは違い。イメージを言葉に乗せる事はない。でも、

「”シトラ。紫の虎――紫虎。至高の虎――至虎。シトラ。その強気爪と牙は守るためのモノ。愛する者を守るための力に負けない心を”」

 もしかしたらいらないと責めるかもしれない。人間であったのに魔族にさせられて怒り狂うかもしれない。でも、これは私の欲望だ。

「”シヅキ。紫の月。糸のように紡ぎ形作る者――糸月。シヅキ。その力は情報を得るため。多くのモノを未然に救うため”」

 祝福を与えよう。そう告げて紡がれていく魔力。そして、

「ここは…」

 実体を持っている事に戸惑うシトラ。

「”シトラ!!”」

 呼びたかった名を叫んで抱き付くシヅキ。

「マオ…?」

「……………………生き返らせた」

 責められるのは覚悟している。人でなくなった事で納得いくとは思えないし。

「……………そっか」

 シトラの胸の内は分からない。

「人間と魔族の共存。人間からの働きかけ出来ないのか…」

 せっかく言葉を覚えたのにな。

「責めるなら私を責めてくれればいい」

 歪めたのは私だ。そう告げると、

「いや? 助けてくれたんだろうマオは」

 責めてどうするの。と尋ねられて笑う。

「………なら嬉しい」

 シトラが私の名を呼べている事実にも安堵している。歪めて呼ぶ事が出来なくなっているかと思ったのに、

「好きに生きて下さい。人間に擬態しても。魔族として生きても」

 人であった彼なら出来るだろう。

 それは命令ではなく懇願に近い。

「幸せに…」

 そう告げて、これが最後の関わりだと言外に告げた。

次で終えるけど真緒様の出番はない

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