表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
諸事情につき、勇者ハーレムの中にいます  作者: 高月水都
魔王になりたい者
64/290

戻ってきた意識

被害は大きかった

  第60話 戻ってきた意識

 ゆっくりと浮上していくような感覚。

「……さん!!」

 必死に呼ばれる声がする。

 煩いな。

 と思いつつ、瞼をゆっくりゆっくり開けていく。

「新庄さん!!」

 目の前には勇者。

「……湯島君?」

 あれ、さっきまで、図書室に居たのに、

「良かった。目を覚まして…」

 勇者の言葉にぼんやりと考えて、辺りを見渡す。

「……………シトラさん」

 そこにはシトラの遺体。そして、シヅキの――。

「………知っている人だったの?」

 勇者の言葉に頷く。

「……………歌が上手くてつい聴きに行ってたんだ」

 街は混乱している。今まで魔族に頼っていたのにその魔族が消えたから。

「……………そうか」

「勇者様!!」

 街の人が勇者を呼ぶ、勇者はちらりとこちらを見て迷っているが、

「行ってらっしゃい」

 私は大丈夫だからと告げると、

「…………じっとしててね」

 と懇願に近い言い方をして去っていく。

(さっきまで表に出ていた人格は何をやらかしたんだ!?)

 あそこまで過保護じゃなかった気がするが、

「”我が君”」

 足元から声。リムクラインだ。

「”どうした?”」

 人に見付からない様に影に潜んでいる。

「”魔族の受け入れが終了したとフェルテオーヴァ様からの伝言です”」

 名を使っての伝言は真実。

「”分かった。………元凶の死骸は?”」

 シヅキの身体を奪い好きなようにしていた。そんな奴に名を呼んでやるような事はしない。

「”おそらく…半魔の身体を解剖すれば混ざっているのが分かるでしょうが…”」

 人間がそれをするだろうか。

「”研究データを勇者の目に入りやすい様に細工できないか? おそらく他の者なら証拠隠滅するだろう”」

 黒幕の正体をはっきりしないとシトラに全ての罪を押し付けるだろう。

「”分かりました”」

 返事と共に気配が消える。

「…………」

 周りが静かになると握ったままの手に意識が向く。

 ラーセルシェード(かつての私)の話だとここに二人の魂が握られている。

「もう少し待って」

 魂に向けて告げると僅かに熱を感じた気がした。


 遠目でぼんやり見ていると、勇者達は街の混乱に対応して指示している。

 風の術を使用して、聞き耳を立てていると、領主とその屋敷に居た者らが全員昏睡状態に陥っているらしく、今巫女が回復に向かって行った。

 ………長い事洗脳されていたからな。

 しばらく苦労するだろう。

「使えない領主の代わりに現場の指揮か」

 こうやって見ると勇者は空気読まないとかいろいろ言いたい事があったが勇者もあの女性陣も有事には強いのだなと感心してしまう。

 ………………勇者達には言ったら危険なので言う気はないが。




意識を失っていたのはどれくらいだったんだろうな

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ