勇者と魔獣使い
勇者だと言われていてもまだ高校生
第47話 勇者と魔獣使い
新庄と離れて、街の中を探し続ける。
「どこ…!?」
思い出す。
前回の旅で元の世界に帰りたいと弱音を吐くと慰めてくれた巫女。
何かあると叱ってくれ、褒めてくれた女騎士(ロ-ゼル)。
無邪気な妹のように甘えてくれた魔法少女。
その三人に何かあったら、
「……」
不安で足元が覚束ない。
何も無ければいいのに。
「”~~♪”」
歌が聞こえる。
翻訳チートがあるはずなのに分からない言葉。
「……?」
何となく、そう何となく見に行っていた。……探し疲れて休みたかったのもあったかもしれない。
そっと近づくとそこには大小さまざまの魔獣が集っている。
その中心。一人の青年が楽器を持って歌っている。
「”~~♪”」
歌はゆっくりと終わりに近付く。
「*******」
青年がよく分からない言語で話し出す。それに反応する魔獣達。
「*****」
「****」
次々と鳴き声を上げるとそれに青年が答えるように笑って、次の歌を歌い出す。
あっ、これ。聞いた事がある。
言葉は分からないが、曲を知っている。以前、三人と共に泊まった宿で演奏されていた曲だ。
「…………」
不意に泣きたくなった。楽しい記憶があるからこそ。三人が心配で、心配で、……不安で。
急に演奏が止まった。
「どうした?」
声を掛けられて、楽器を持った青年が近付いてくる。
「あっ……」
魔獣達がまるで青年を守るように警戒している。その姿はまるで…、
「魔獣使い…」
呟く声に反応して襲い掛かろうとする魔獣達。だが、
「****」
囁く声。そして、
「………俺を捕らえに来たの?」
腰に下げている剣を確認して告げると、抵抗をせずに近付いて来る。
「………俺は」
勇者として倒さないといけない敵。
消えた仲間。
同じ魔獣使いかもしれない新庄。
そして、青年の眼差しは怯えて怖がっていたが覚悟をしたような色合いを宿している。
「……」
そんな人を倒すのは、出来なかった。
………敵だと、判断できないのだ。
「…誰か」
いつもならここで答えを教えてくれるのは三人だった。でも、今は居ない。
「……」
それ故に迷っていた。
だが、それは突然終止符を打たれる。
「見付けたぞ!!」
黒い鎧の集団が急に現れる。
「”みんなは逃げて!!”」
急に鮮明になって聞こえた声。それは青年が魔獣に向けて叫んだ言葉。
「魔物を従えてる青年だな」
黒い鎧の一人が青年に声を掛ける。
「……」
青年は答えない。いや、答える前に、拘束されたのだ。
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「”我が君…”」
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「”我が君”」
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「”お願いです!! 彼を”」
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「”あの人を助けてください”」
聞こえないはずの声が二重に重なって届いた。まるで何かに祈るような必な叫びだった。
合流させれるかな




