王の役目
なんだかんだで勇者に協力する元魔王
第46話 王の役目
勇者と別行動にしたが、さてどこから探るか。
きょろきょろと見渡すと城壁が見えてしまう。
「……」
怨嗟の声。人間の鈍さが羨ましい。
「………私も人間なんだけどな」
最近魔族寄りになり過ぎた。少し自嘲しないと。
と、苦笑いをすると、ゆっくり壁に近付く。
悲しみ。恨み。呪い。絶望。そして、虚無感。
「………待っていろ」
すぐに自由にしてやろう。
宣言の声は届かないだろうが告げる。
それにしても、
「この素材は…」
と呟いていると、どこからか悲鳴が聞こえて――人間のだ――視線の先にあの黒い鎧が見える。
いくら領主の私設兵とはいえ、平和な街並みにあれは浮きまくっている。
ざわざわと遠巻きで見ている人達の中にこっそり紛れ込むと、
「また。連れて行かれたわ」
「あの人。魔物の怪我を診察していたんだって」
「壊れたら新しくすればいいのに」
ひそひそと話す声にいろいろと言いたい事があったが耐え、
「回収してくれる所もあるのに」
回収してくれる所?
「……」
何だろう。気になる。
勇者には悪いがそちらから先に調べてきた方がいい気がする。でも、その回収してくれる所よりもあの人間の方が事は争う。
………身体が複数欲しいが(まあやろうと思えばできる)今使うつもりはないので、そのまま黒い鎧を追いかける。
「なにこれ……」
目立つのに結界で目隠しされて隠れていた廃棄工場――いや、廃棄されてないか――に近付いて行くと、
奇妙な魔力の流れ、
「……」
いかにも探ってくださいと書いてあるのような場所だなと思いつつ探る事にするが、近付いてくる足音に身を潜める。
歩いてくるのは別の黒い鎧の集団。そして、
「……………勇者の…」
ハ-レム達。それらが虚ろの目で歩いている。
「…………」
操られているのだろうか。でも、なんで、
(ってか。私何であんなやつに殺されたんだろう)
まあ、実際には勇者の手だからいいけど、その勇者の連れが操られるなよと文句を言いたい。
(まあでも、これでどこに行ったか報告できるな)
後は勇者に教えて………。
「”これが……か”」
「”ああ。どんなものになるのか”」
話し声。しかも、古代文明語。
「”お方様は勇者も使いたいと言ってたからな”」
お方様ねえ…。まあ、つまり。
「そいつがあの婚約者か」
名前を知りたいものだが下位の者が名を言う事はないから仕方ないか。
それにしても使いたいね…。
「ろくでもない事してそうだな」
そう呟いてしまう。
………事実ろくでもない事だと知るのはあと少し。
勇者のターン。の予定




