人間達の憶測(その3)
人間は種族として認識してないので、魔物。魔物は魔王の祝福で子孫が増やせるので種族として魔族呼びしてます
王は勇者に一枚の板を見せる。
「写真……?」
写真モドキと内心で呼んでいたその板は魔術によって一瞬の風景を映し出す――まあ、ガラス板だが、写真である。
「魔術師が死の直前に写し取ったものです」
「へぇ~。 って、これ…幽霊船じゃ!?」
巨大な船の中に一艘だけ他と異なる船。
「ユウレイセン? 何ですかそれは?」
「えっ!? あっ、知らないのか…幽霊船と言うのはその船で死んだ人の魂が残っていると言うので…成仏…それは仏教的表現化か…えっと」
「神の身元に行けない者の留まっている船。ですか?」
巫女がとっさに訪ねる。
「そっ、そう。流石リジー!!」
「いえ…そんな事」
褒められて恥ずかし気に――それでも他の二人に見せ付けるように勇者の見えない角度で勝ち誇ったように笑う巫女。
その姿に残された魔法少女。女騎士はさっきの籠った眼差しを向ける。
そんな二人の神経を逆なでられて表情を歪めるのを、巫女は眺めて、
「きゃっ!? 怖い」
と可愛らしく――あざとくとも言う――悲鳴をあげる。
そんな巫女の様子に勇者は気付いて、
「二人ともリジ―は箱入りだから怖がらせちゃだめだぞ」
と、注意しているがその当の箱入り巫女はあっかんベーをしていたりする。
「じゃあ、勇者はこちらもご存知ですか?」
他にも二枚同じようなガラス板を見せる。
「ドラゴンと…植物のモンスター?」
「魔王は魔物を創ると言われています。奴は自身の死すら、魔物を生み出すのに利用したのです」
そこまで告げると王を含むその場に居た者は全て平伏する。
「お願いします!! これらの災厄を解決してください。勇者様」
皆が頭を下げる中。当の勇者は、
「動物のような魔物はたくさん倒したけど、こういうのは倒してなかったな。よしっ!!」
誰にもその声は届いてないと思っての呟き、
「分かりました。微弱ですが、この力。再び世界のために使いましょう」
湧き上がる歓声。まだ解決していないのにもう全てが終わったかのように騒ぎ出す。
「――呆れた」
その様子を覗き見している存在はついつい呟いてしまう。
「クー。もういい」
これ以上は見るのも不快だ。
クーはすぐに映像を消す。
それを確認すると見やすいように客人用の椅子に座っていたのを立ち上がる。
「……道理で、私を倒すために勇者を召喚したわけだ」
覗き見をしている内に少しずつ思い出してきた。
「……人間の誓いは時が風化していくのか」
まあ、私も忘れていたけど。
倒されたからとか。死んだからではなく。元から忘れていたのだ。
「嫌な事って忘れたくなるもんね……」
これは自分の職務怠慢だわ。
「クー。私の可愛い同朋を探して繋ぎを取ってほしい。この私――ラーセルシェ―ドが話をしたいと。その際、私の名を口に出すのを許す」
命じるとクーは宙に溶けていく。
「彼らの話も聞かないと」
女子高生ではなく、魔王としての決意を込めて、一人呟いた。
ここからは魔族のターン