消えた仲間(?)
久しぶりに真緒様視点
第45話 怒れる魔王
取り敢えず情報を仕入れる先も見つかったし、お仕置きを考えないと――。
そんな事を考えながら領主の屋敷に戻ろうとしたら……。
どんっ
思いっきり人にぶつかった。
………パン咥えたら少女漫画のお約束だな(笑)
とそんな暢気に構えていたらぶつかった相手――勇者が、
「新庄さん!? リジーは!? ローゼルは!? パイシャンは!?」
と捲し立てるけど……。
「……湯島君。名前は大事な物じゃなかったっけ?」
今思いっきり口にしたような………。
(まあ、知っているけど)
「あっ、しまった!!」
しまったじゃないよなと内心突っ込みをしつつ、
「………で、(ハーレム)三人がどうしたの?」
話が進まないと判断して尋ねる。
「あっ、そうだ!! 三人を見なかった? 見付からないんだ!!」
動揺している勇者を見て、
「落ち着いて、いつから居なくなったの?」
人が動揺してると周りが落ち着くっていうのは本当だな。なのか、見た目は高校生中身が……だからなのかなと酷い事を思いつつ、
「……朝起こしに来るのに来なかった」
ああ。誰が起こすか争奪戦してたからな。(遠い目)
「………それから見てないの?」
今昼時だ。
「ああ…」
心配そうな勇者を見て、
「領主のところで見た人とか…」
言い掛けて、
「……………湯島君」
領主が…と言うか婚約者が胡散臭かった。もしかしたら、そちらで何かあったのではないかと言い掛けて、
(駄目だ。それを言ったら何を根拠にと聞かれて誤魔化せない!!)
よく見ると小刻みに震えてる勇者。
心配なんだ。
私からするといろいろ思う事があるんだけど、勇者からすれば、魔王――私の事だったが――を共に倒した仲間だ。
心配だろう。
「……………ごめん。こんなかっこ悪いとこ見せて」
笑ってそう告げるが無理しているのがありありと分かる。
「無理に笑わなくていいよ」
空気読まないのが勇者のイメージだから崩されると調子狂う。
「……………新庄さん」
ありがとう。小さく礼を告げるが、
「ここでイベント絵が回収されるんだな」
それを言わなかったら良かったのにな。
ほんと残念だな。
「探すの手伝うよ。どこ探したの?」
訪ねるといろんな場所を教えてくれる勇者。
「じゃあ、他のとこ見てくるね」
「新庄さん…」
感動している勇者をほっといて探してみる。あの三人が勇者の傍を自分達の意思で離れるとは思えないから、何らかの事件に巻き込まれたんだろうけど、
(ちょろ過ぎない)
一応私を倒したんだからそれ相応の強さを持ってほしいんだけど。
つか、そんな不満を抱いてしまったが私は悪くないはずだ。…たぶん。
さてさて三人は無事でしょうか




