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諸事情につき、勇者ハーレムの中にいます  作者: 高月水都
魔王になりたい者
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半魔

真緒様も立場からすると半魔だよね

  第42話  半魔

「”不純な動機だけど、魔族の言葉を覚えようとしたきっかけは彼女に一目ぼれしたからなんだ”」

 公園のベンチ。 

 カップルのように並んでいるがそんなわけない。

「”寂しそうに外を見ていた彼女をただ慰めたかった”」

 よくあるよなそういうの。でも、

(どうして私は他人の恋愛を聞いているのだうか)

 突っ込みたかったけど、気になる事があるので黙って聞いてる。

 そう。

「”半魔”」

 居ても別のおかしくない。種族によっては雄。または雌しかいないのもあり、それらは別の種族と婚姻を結ぶ。………別の深い意味があって創ったわけではない。進化の過程でそうなってしまったのだ。

「”……あの店には他にもたくさんいます”」

 シトラの言葉。

「”………街の人にとって”」

 気なる事。

「”半魔は人なの? それとも……”」

「”……”」

 シトラは答えない。だが、何かに気付いて、辛そうに、

「”マオ。この街の魔族の共存は正しくない”」

 それはなんとなくわかるが急に何を言い出したのだろう。

「”そして、共存してないけど、それに気付いても言わない方がいい”」

 シトラの視線の先。昨日宿に来た領主の私設の兵士達がと一つの店に入っていき、その店に居た女性を引きずり出す。

「”……あの店の女店主はお腹を空かせていた魔族の子供に残り物のパンを分けていた”」

 シトラが告げる。

 シトラの声を聞きながら、その連れて行かれる人を見ているとまぞくがその人を助けようとして身体に埋め込まれた束縛する道具で苦しんでいる。

「”先日。老いた魔族が道具を扱い辛そうにしているのを見た職人が魔族のために使いやすい道具を制作した”」

 私とは逆にシトラは兵士を直視しないように目を逸らしたまま、教えてくれる。

「”そういう人はああやって連れて行かれ戻ってこない”」

「”……どこに連れて行かれるの?”」

 訪ねると首を振られて、

「”……分からない”」

 と答えられる。

「”でも、街の人には共存できる仕組みを創り出す技術の協力をしていると告げられ、……洗脳されたように納得していく”」

「”洗脳…”」

 あの領主達と同じ……。やはり、あの婚約者と言うやつが、怪しいな。

 じっと考え込んでいると、迷うように、シトラが口を開き。 

「”先の話だけど、半魔はそのまんま魔族だ。いや…人の血を引いているから、普通の魔族よりも人間の当たりが酷い”」

「”………?”」

「”人間の裏切り者と言われているんだ”」

 人間の裏切りって、

「”…酷いよな。まだ両親が想い合って出来たのならいい。でも、さっきのようにそれ目的で連れてこられた者は好きでもない人間の子を産まされる”」

「”……避妊は?”」

 訪ねつつ、そんなものはこの世界にないのを思い出す。

「”………君に言うのは気持ちを軽くしたいだけの自己満足。…魔族と仲良くしたいのに仲良くして捕まるのも怖い”」

 自分の罪を軽くしたいだけだと笑っているが、彼の心はそれと真逆。そう言って、責めてもらいたいのだ。

 そして、人間である自分が許せないが、人間と言うカテゴリーに留まりたいと思っている。

 それを弱さだとは思わない。

 私も結局人間でいたいと思うから勇者の傍にいるんだろう。

 頼まれたから。逃げようとしたら気付かれるから。

 そんな言い訳をして。

「”……そんな事で怒らないわよ。魔族はただしたい事をしているだけだし”」

 そう、私もしたい事をしている。

「”情報ありがとう”」

 礼を告げて立ち上がる。


 私は基本自由にさせている。人を襲うのも自由。ただし、人に襲われるのも覚悟しておくように伝え、人にも魔族を襲うメリットを作った。

 どちらかが強くならないようにもしてきた。

 昔会った勇者が一方的に強いだけだと、いずれ自分の首を絞めると話していたからだ。


「”あの人を救ってください”」

 そう願う声。

「”助けたい”」

 そんな懇願。

「”………分かった”」

 私は他の魔族の王に比べると甘いと言われた。

「”私が甘いのは私が庇護しているからだ”」

 そう、魔族は私の庇護下にある。そして、私の庇護下のモノが私の頼んできたのだ。

「”お前達の言葉聞き届けた”」

 そんな私の庇護下のモノを害するなら仕方ない。

「”バレるのを覚悟で動くか”」

 と決めたのだった。


お仕置きだべ~

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