密談
気が付いたら40話
第40話 密談
魔物と共存。その計画を聞いて勇者は疑問を覚える。
そう、空気が読めないと言われた彼も流石に気になった。
(上手く行き過ぎではないか?)
魔物の脅威を知っているからそれに対して気になった。
「……」
そして、みんながその婚約者の事を褒める中。
(……新庄さん?)
新庄が冷たい眼差しを向けているのに空気を読まないのに勇者の勘で気付いた。
「新庄さん」
用意された部屋に入ろうとしたら声を掛けられる。
「湯島君?」
まじ止めて。このタイミングで声かけられるとあの三人が……。って、あれ?
「居ない…?」
いつもは誰か一人がべったりくっ付いている。……居ない時もあるが宿とかは必ずいる。
「魔物と共存できる方法を聞きに行っている」
勇者の声が硬い気がする。
「新庄さんは…」
「んっ?」
「新庄さんは、さっきの話どう思った?」
「………?」
何が言いたいんだろう。
「魔物と共存出来るのはいい。最初はそう思って話を聞いた。でも」
勇者が言葉を選ぶように告げてくる。
「一つ間違えたらのリスクが大きすぎる…とでも思ったとか?」
「………」
確認するように尋ねるとただ無言。でもそれが何よりの答え。ああ、そういう観点で気付いたのか。
「魔物と共存……」
本当は魔族と言いたいが我慢する。
「湯島君」
実は、湯島――勇者のポジションだと見えにくいのだが、
「あのね。今まで、気付いてなかったと思うけど」
そう。
「私。まともな魔物見てないんだけど」
「へっ!?」
「………湯島君が警戒してるけど、私の見ていた魔物は道で襲おうとして別の魔物に連れて行かれたのとアカネだけで」
そう、実は勇者から見た私はそういうポジションなのだ。――今、気付いたけど。
「だからね。……本当に害があるのか分からないの」
もふもふ好きだから好感が持てると余分な一言も添えて。それゆえの意見する。
「湯島君は、元の世界の歴史得意だっけ?」
答えを求めてない。
「その歴史の中で、人間が滅ぼした動物が多くいるよ」
「魔物は人間が滅ぼそうとする種に見えるの?」
「………分からないよ。でも、気になるのなら」
それ以上言わない。でも、
「新庄さん。しばらくこの町に滞在していいかな」
それに対して、巻き込まれたというスタンスの私が言えるのは、
「構わないよ」
そう。私も気になる事があるし。
(あの者。魔族の…魔人なのに何を企んでいるのやら)
調べてみないと。
シトラさん再登場




