実験場
ご飯は美味しいのに何食べたか分からない(´・ω・`) by真緒様
第39話 実験場
「これはこれは、お会いできて光栄です。勇者様」
と姿を現したのは領主夫婦。と領主の娘。そして、その婚約者。
「いえ…城下で騒ぎを起こしたのはこちらですので」
と頭を下げる勇者。しばらくそれが続いてから、料理が冷めてしまってから食事会となった。
「そう言えば……この街は魔物と人が共存してますね」
勇者がずっと聞きたかった事としてその話題を持ち出したのはもうデザートの段階だった。
「――ええ。そうなんです」
領主の視線が娘の婚約者の方に向かう。それにつられて勇者達もそちらを見る。
その視線に困ったなと苦笑しての先ほどの台詞だった。
「あれは、娘の婚約者が考え出したのです」
自慢したくてしたくて堪らないというかのように領主が興奮して話しだす。
曰く、もともと魔物を研究していたその男性は、魔物の脅威を減らす実験をしたいので協力を求めてきた。領主は最初そんな夢物語に手を貸せないと断った。
それでも男性は毎日毎日やってきてその話をしていく。
「その必死さにこちらが根負けしたのです」
と苦笑いしつつもどこか嬉しそうに笑う領主夫婦。
「気が付いたら、彼に私達の娘を貰ってほしいと頼んでしまったのですよ」
彼の研究は、実験は成功した。
「私のした事は些細な事です。でもしいて言うのならこんな机上の空論に手を貸してくださって、危険を伴うのを知りつつも、実験に協力してくださった領主様のおかげで魔物と共存出来る仕組みを進められたのですから」
にこりと笑うと、
「水臭い。私達は家族になるんだから」
とやや不満げに告げる領主。
「………実験と言うのは?」
「ええ。……私は、今魔物の脅威で怯えているすべての地域にこの技術を伝えたいのです」
その言葉で感動する面々。
だけど、
「私一人の力では微々たるものですけどね」
婚約者の言葉にそんな事はないと言い募る人々。
それを見ている。私はどうして気付かないのかと首を傾げる。
僅かな魔力の流れ。
かすかに感じる術の名残。
そうこれは、
(魔人のそれ……)
丁重に隠しているが、私の力では誤魔化せない。
(……アカネに誤魔化してもらえるようにしてもらって良かったな)
と内心安堵していた。
さてさて目的は?




