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諸事情につき、勇者ハーレムの中にいます  作者: 高月水都
魔王になりたい者
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魔物と共存する街(噂)

アカネは真緒様の肩にくっ付いて居ます

  第32話  魔物と共存する街(噂)

 早く。早く。

 焦る気持ちがそのまま身体を動かし、足早になっているのを本人は気付いてない。勇者補正――チートが身体能力を向上させているので自分の身体は限界に達してない。しかも考え事をしているので、自分に付いてきてる仲間が置いてかれているのに気付いていない。

「勇者。あの宿の話が気になるのか?」

 唯一勇者に付いてきている女騎士の声に勇者が止まる。

 それは、宿を出る時だった。


「魔物と共存している街があるそうです」 

 新庄さんがたまたま村に住んでいる年寄りともふもふ対談をしていて――なぜそこまでもふもふで盛り上がれるんだ――そのまま世間話に入ったのだ。

「魔物?」

「はい。魔物に襲われない。魔物と協力して暮らす街。……ですが」

 後半良く聞こえなかったが、そんな町は初耳だ。

「………」

 新庄さんは何か返事をしている。そして、

「………わざと、か?」

 と意味不明な事を告げた。

               *

 街の話は聞いておいて損はない。情報はいくらあっても足りない。でも、

「はい。魔物に襲われない。魔物と協力して暮らす街。”そんなの人間の都合のいい妄想”ですが」

 前半はこの地方の言語。後半は古代文明の……魔族が通常使用する言語だった。

 だから、訪ねた。

「”そこに私を怒らせる何かが居るのか?”」

 話を持ち掛けての返事は無言。そして、

「………わざと、か?」

 後ろに勇者が居るのに気付く、その上での発言。

「”これで動きやすくなると思いますよ。我が君”」

 ………私の部下の中では穏健派であったが穏健派というのは策略家という意味だっけ?

 ついそんな事を考えてしまうが動きやすくなったのは確かだ。

「”礼を言う。フェルテ”」

 名を呼ぶのは一番の栄誉。しかもそれが愛称であるのなら信頼の証。

「”……最高の褒美です。我が君”」

 ご武運を。

「”ああ”」

 フェルテオーヴァに応え。勇者達に付いていくが、

(早い……)

 どんどん先に行くので女騎士以外は置いていかれてる。今日もまた大荷物の私一人が辛いなら気にしないだろうけど、巫女と魔法少女も置いてかれているので流石に拙いと思ったのか女騎士が勇者に話し

掛ける。

 勇者がこちらに気付いて足を止める。

「……えっと」

 自分が早足になっていた事に気付いてなかったのだろう。置いて行かれている仲間を不思議そうに見つめ、

「どうしたの。みんな?」

 と首を傾げているのに、

(こういう時こそ空気読め!!)

 はっきり口に出して言いたかったが、歩き疲れた身体で言葉を発する事が出来ない。

「………」

 もう正体ばらしてもいいかな。

 湧き上がる殺意に似た何かでつい常識的に考えて得策ではない方法を取りたくなった。


 


リムが出てくる予定

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