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諸事情につき、勇者ハーレムの中にいます  作者: 高月水都
まだ旅出てないよ
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紡がれる力

真緒様。お力を試してみよう

 それにしても……。

「いくら勇者のおまけ(?)でもメイドさんの案内もないんだね」

 召喚に使われた部屋を出ても誰も来ない。でも、

(伺ってる気配はするな)

 さて、どうすればいいのやら……。


「すみませーん」

 取りあえず誰かいないか呼んでみる。

「……」

 シーン。

「いないな…」

 なら勝手にしてしまえばいいよね。


「えっと、図書室。図書室」

 と呟くといつの間にか目の前にメイドさん。

 それはそうだよね。勝手に荒らされては困るだろう。


 本って貴重だからな。印刷技術が無かったからせいぜい写本だったもんな。


「案内します」

 渋々という感じで案内してくれるけど、

「なんで私が…」

 とブツブツ文句言ってるのが聞こえてるよ。客人に対して失礼じゃないかな。


「王女がしっかり勇者引き留めておけば…」

 よく分からないけど、普通黙秘しとくものだよね。

 まあ、聞かなかった事にしとくよ。

 

 だから、わたしを巻き込まないでくれ。


「こちらです」

 メイドさんの案内してくれたのは客人用の部屋だろうな。

「ありがとう」

 ゆっくりしたかったから丁度いい。


「うん。なかなか」

 普通の部屋だ。


 ――見張りも盗聴もない。


「さて」

 始めますか。

「”紡ぐ。疎は溶け込む存在(もの) 感じさせず、漂う存在(もの) 魔王の慈悲の元。その生。その存在に価値を与える”」

 もし、この場に何者かがいたのならその光景に腰を抜かすだろう。


 魔力の糸が紡がれ、形作ってく。

「”来い。クー”」

 現れたのは巨大クラゲ。

 

 前世――と言うか以前の自分なら考えられないほどデフォルメされている。いわゆるゆるキャラにしか見えない可愛らしい姿(中に人などいない)


「出来た…」

 クーと名付けたそれをしばし見て、

「…やっぱり、出来ちゃった……」

 へなへなへなとしゃがんしまうのも仕方ない。魔王の記憶があって転生だと自覚したくなかったが、自覚せざるえないと思ったのだが、


「まさか、能力もそのまんまあるなんて思わなかった!!」

 叫びたかったが、人が来られると困るので小声で思いを吐き出す。私の記憶にある魔王は魔族を生み出せる唯一の存在。魔族という種は魔王の祝福によって種として増える。


「出来るなんて…」

 どうしてここで魔族を創ったか。もしもの時にとっさに創る危険を回避したかったのだ。

 クーは不思議そうに首(?)を傾げてる。うん。可愛い。


「ごめん。心配させたね」

 さてと、本題本題。


「”クー見せて”」

 命じるとクーの足がしゅるしゅる伸びる。伸び終わるとクーの頭に何かが映し出される。


『……で、何で再び…』

 映し出されたのはさっき召喚された部屋。


『魔王は倒したはず。もうこの世界は平和になったんですよね』

 勇者の疑問に答えるため王は口を開く。

『…平和は一時的でした……』

 それは、この世界での半年間。勇者にとって二か月。――私にとって十六年前の空白に何があったのか。長い長い話だった。






”が付いてるのは日本語でもこの国の言語でもありません

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