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揺れ動く世界

そういや、民置いてきぼりだったな

  第265話  揺れ動く世界

 全てが終わり。人々はその終わりを見せるために行われたパレードを喜び勇んで見つめていた。

 そこに、勇者一行と明らかに人外の存在が居ても気にはならないほど盛大な歓迎ぶりだった。


 それも当然だ。

 彼らはこの平和な光景が来ないものと覚悟していたのだ――。


 ほんの数日前まで、彼らに平和は無かった――。


 香王城からも結界の傍からも遠い地であったその国は魔物の被害はあるモノの他の国から少なく、勇者も召喚して、王女が精霊の王に気に入られたという事実で平和は自分達の上から遠ざからない。


 恒久的なモノ。それを信じて疑わなかったからこそ。

 ……人々は混乱した。


 自分達の信じていた神――ユスティ。その神に一番近い所に居ると思っていた雲上人――司祭が行っていた行動を人々は見せ付けられた。


 肉塊で遊ぶ姿――それに吐き気を催した者は少なくない。

 勇者に対しての行い――その前に勇者が仲間にいろいろ言われていじられたのはその後が酷すぎたので記憶に残ってない。

 そして、恐ろしいまでの執着――勇者に巻き込まれて召喚された少女だと知っている者は知っている。


 それが、噴水に――。

 鏡に――。

 池に――。

 窓ガラスに――。


 映るさまを見せ付けられて正気でいられるものは少ない。


 会話も届く。


 そこで垣間見える司祭の狂気。

 勇者の傍に魔人が居る事も、人々にはどうでもいい事に思えてくる。


 ――実際どうでも良かった。


 街では、巨大な化け物が人々を襲って、捕まった人――動物でも――を取り込んでどんどん形状を変えて街を壊し続ける。

 そんな光景が繰り広げられて、司祭の異様な光景を見せ付けられ、彼らは世界の終わりを見せ付けられた。


 だからこそ。


 街を破壊している化け物から人々を助け出していたのがそれもまた化け物――龍で。

 勇者と協力して司祭を倒しているのが山羊の魔人だという光景はどうでも良かったのだ。

 ――それが救ってくれる存在ならば。


 自分達に害をなさない存在ならば。


 それ故に人々はその後に王女から――精霊王の加護を得た聖女からの通達を聞いて受け入れた。


 司祭と言う存在が真の魔王だった――。

 ユスティと言う少女が神に仕立て上げられた存在だった。

 勇者が倒した魔王は司祭の犠牲者。


 そして――。

 魔物は――魔族は悪ではないと。


 人々は戸惑いつつも受け入れた。

 変わり果てた常識を塗り替える。それくらいの光景が続いたから―ー。

情報操作怖い……

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