表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
286/290

そして、選択

勇者も大分変ったな

  第264話  そして、選択

「さて、勇者」

 神の一部――カミーユが声を掛けてきたのは凱旋パレードが終わって一段落した時だった。


「どうしたい?」


 この世界に留まるか。戻るか。


「あちらの世界に居て疲れたのならこの世界で定住も可能だ。どうする?」

 

「俺は……」

 勇者はそれだけ言うと口を閉じる。


 元の世界か………。

(私は帰りたいけど、勇者からすれば迷うところだよね)


「――ありゅじ」

「私は帰るよ。――何時までも亡霊が居ちゃだめだろうし」

 かつて魔王だった自分が居たら今の魔王になるシトラの邪魔になってしまう。


「ありゅじ……」

「ありがとうね。アカネ」

 こんな不甲斐無い主人に仕えてくれて、

「ありゅじ…………」

 アカネは泣きだしている。


 その傍では、クーが付いていこうと準備している。

「クー無理だからね」

 釘をさすとクーが悲しそうな瞳で見ている。


(うっ、ドナドナで売られる子牛ってこんな目なのか!!)

 すごく後ろめたい。


「ラーセル。遊びに行くから」

「――無理だから」

 何言ってる冥王。

「餞別じゃ」

「ありが……これ千華の分身体!!」

 ったく。油断の隙も無い。


「……龍帝によろしく伝えておいてくれ」

 竜の末っ子に告げる。

「はい。親爺殿も悲しみますが、きっと『別れに慣れている』と告げると思いますので」

 一通り挨拶を告げると、勇者の返答を待つ。


「俺は勇者としてこの世界を救ってないよ」

 迷いの末の言葉。

「この世界を混乱に陥れてゲーム感覚だった。そんな事実に気付いたら勇者と崇められているのが重くなって」

 やっていけないと思った。


「俺は戻るよ」

 もしかしたらそんな自分から逃げているだけかもしれないけどと苦笑いを浮かべる勇者。


「そうか」

 カミーユは面白がるように――いや、こいつらからすればすべては娯楽。勇者の発言も面白いと判断したのかもしれない。


「そなたが我らと同じものに成ったら退屈も紛れるかと思ったがな」

「……(ならなくて良かった)」

 勇者の心の声が聞こえた気がする。


「では、帰るか」

「――ああ。俺はたぶん。あちらの世界でも嫌な事から目を背けていたと思うし」

 勇者の言葉に、

「そういや、湯島君を苦手と思わなくなったな」

「今更っ!?」

 そんなに驚かなくても、

「はぁ。新庄さんに苦手だと思われなくなった事を喜べばいいのか……」

「言っとくけど、オブラートに包んでの苦手だから」

 と問題発言をしておく。


 あっ、勇者がショックを受けてハーレムに慰められている。


「――勇者」

 女王として即位が決まった王女が口を開く。

「帰還の前にやってもらいたい事があります」


 それは――。


「ああ」


 魔族――魔王との平和条約の見届け人だった。 

後何話かな。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ