退屈しのぎ
根本的のは解決しない
第261話 退屈しのぎ
神々は面白いモノを見たと笑う。
元々、常識はずれなのだ。この地域の魔王と勇者は。
魔王に助けを求める生贄の勇者しかり。
どの種族も分け隔てなく寵愛する魔王。
その中に通常通りの勇者が現れても――。
『朱に交われば赤くなる。だな』
規格外の勇者に育つわけだ。
『新庄さん。馬鹿にされている気がするけど……』
『気がするじゃなくて、実際馬鹿にされているのよ』
勇者と魔王が交わす会話ではない。だが、それが面白い。
この二人と言う異端を生み出したのがこの地域なら。
あの司祭もユスティも生まれるわけだと納得してしまう。
『面白い』
砂漠の中で砂金を探すのは面倒だ。だが、その砂漠が子供の遊び場の砂場だったら?
海で探すモノだと思っていたモノが池の中にあったら?
成程探す価値はあるかもしれない。
『ホント、面白いよ』
お前達は。
それ故に、
『このまま我らと同じモノになるより野に下した方が面白そうだ』
神は気紛れ。
神は退屈している。
よって――。
「はぁ⁉」
何を言ってんだと文句を言おうとした二人を封じて、さっさと下界に返す。
『まだ文句は…』
『我らに何を言っても娯楽にしかならない。そういったのはその方じゃろ』
なら、文句などこれ以上言っても無駄じゃ。
突き落とす。
『ホントおもろかった』
退屈しのぎ。勇者の目論見がどうなるか分からないがしばらく見ものだ。
『新しい遊びをしませんか?』
神の一人が口を開く。
そして――。
まあ、うん…




