表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
280/290

振り回された者

ラスボスの目的。そりゃねえわな……。

  第259話 振り回された者

『ふざけんな!!』

 勇者が叫んだ。

 

 あっ、止めるの間に合わなかった。


『神を辞めたいから賭けをした!! こんなに多くの人を巻き込んで色んな人を悲しませて!!』

 人の命を何だと思っているんだ!!


 真っ直ぐな声。真っ直ぐな言葉。


『………』

 ラシェル――勇者じゃなく、生贄のあの子を思い出す。


 ユスティと言う存在が神に仕立てられたのもこの神の賭けによって。

 そして、勝ち逃げしたという事に対して。

(お前の双子はお前が案じるよりしたたかだな)

 などと思ってしまう。


『言ったでしょ。――砂粒の中の砂金を探せるか?』

 探さない。

 興味を示さない。


『同じ事ばかり繰り返す人のどこに惹かれるものがあるの?』


『………』

 見事に平行線だ。

 しかも、


(湯島君の怒りすら楽しんでいるな……)


 参った。


(攻略方法が見つからない)


 いや、別に今まで見えていたわけじゃないが。責める手段がないのだ。


 多分。何をしても娯楽の一言で片付けられてしまうのだろう。


 どうすればいい?


 もう魔王の精神世界は開かれない。


 相談できる部下もここに居ない。


 友も味方に成れないと告げた。


 じゃあ、どうすればいい?


 どうしたら事態を変えられる?


『………』

 勇者が黙っている。

 ………こいつが黙るなんて珍しいな。空気を読まない発言をするかと思っていたのに。


『新庄さんに黙っていたんだけど……』

 へぇ⁉ 何で急に私に話が来るんだ⁉


『実は、新庄さんがやった全住民に同時中継するあれ。司祭の戦いの時に同じ事して出来ないかと冥王様とか精霊王様に相談してみたんだけど……』

 ちょっと待って、何考えているの⁉

『あのグロい光景を見せたわけ⁉ 何考えているのっ⁉』

 あんな変態とか変態の玩具とか一般人が見たら卒倒しそうじゃないか。


『あの龍が別行動して常時術を中継してくれればやれるという事でやってもらったんだ。もちろん、俺の仲間達にも協力してもらって、あの霊達も姿もばっちり見えるようにしてもらったんだ』

 だから何考えてんのよ~!!


『勇者が世界の破滅を促してるんじゃないわよっ⁉ これだから空気が読めない奴は!!』

 勇者の肩を掴んでぐわんぐわんと揺らしてしまった私は悪くない。


『しっ、新庄さん……⁉ 酔う……』

 やばい吐きそう……。

『霊体だから吐く物なんかない!!』

 首絞めた私は悪くない。絶対に悪くない。


『どうするのよっ!! まとめる立場の王達は皆司祭に殺されていたし、勇者はここに居る!! 神殿も司祭の事で失墜したし、出来そうなのは王女ぐらい……』

『――じゃあ、魔王は?』


『えっ?』

『信じていたモノが偽りだった。それを実際に見せ付けられた。じゃあ、今まで敵だと信じられてきた者が助けを申し出たら? 戦後の日本の様に』

 戦後の日本………。


『――都合よくいくと思うの?』

『また忘れるかもしれないけど、実際に経験した事は忘れられないでしょう。トラウマになるだけで』

 トラウマ作るんじゃない!!


『今までと違う結果が起きるんじゃないかな?』

 にやりっ

 勇者が笑う。


『………』

 それに対しての反応は沈黙だった。

だから、ギャグにしたかった……。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ