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魔王復活

でも弱体化。

  第253話  魔王復活

「新庄さん……」

 信じられないものを見た。

 その一言しか出なかった。


 かつて倒した魔王の姿――性別は異なるが――そのままの新庄の姿。


 倒さないといけない――。

 勇者の剣が、勇者としての使命が、喚いて暴走する。


(落ち着け!!)

 そんな自分の中で沸き起こる嵐を抑える。


 自分は勇者だ。

 それは変わらない。

 だけど、勇者は対になる魔王以外倒さない。


 そう――。

(新庄さんは今の俺の対ではない)


 それに、姿こそ同じだが――。


「――弱い」

 吹っ飛ばされたのにそう言って立ち上がる司祭。

「我が君。その弱さは何ですか。せっかく力を取り戻したのに」

 司祭の目には新庄はどう映っているんだろう。


 敬愛してる。一人のモノにしたいという割には自分の望んでない行動をする心情を良く思ってない。


 ――今、一瞬だけ。足手纏いじゃない新庄なんて見殺ししちゃえって、じっさいにやっちゃったお前が言うなって心の声が……。


「………」

 新庄は無言だ。

 人は怒りが度を超すと無言になる。

 ……単に変態と口を聞きたくないだけかもしれない。


「隠しているけど、新庄さん。あいつにかなり嫌がってるからな」

「……別に隠してないと思いますが」

 声に出ていた。

 うん。巫女の突っ込みは適格だ。


「流石に(空気を読まない)勇者でも分かったか」

 女騎士。何か含んでないかな?


「勇者♡ 勇者♡ 彼女の魔力」

「ああ。何となくだけどわかるよ」

 あの魔力の質。大きさ。

 あれは……。


「リムクラインの魔力だ」

 

 新庄は涙を流して喰らっていた。

 あの魔人の力が感じられる。


「――リムクラインの欲望」

 狐の魔人――アカネが声を掛ける。


「ありゅじと一つになりたい。ありゅじの役に立ちたい。その結果がありぇ」

 魔力を全て譲渡した。


「ありゅじは魔王だった頃には及ばないけど、魔力を全て使い切った状態よりもましだと思う」

 羨ましい……。

 アカネの言葉。

「ええと、何で?」

 名前を呼べないと不便だよな。役職名があれば別だけど彼女の役職なんて知らないし……。

「だって、ありゅじに食べてもらえりゅって事はありゅじより先に死ねて、ありゅじに死を悼んでもらえたって事だかりゃ」

 死を悼んで……。


「新庄さんは、死んでもらいたくないと思ってるよ」

「――分かってりゅ。だからアカネは死にゃにゃい」

 真っ直ぐな眼差しを敬愛する主君に向けて、

「リムクラインも死にたくにゃかった。ありゅじに悲しまれるよりも最後まで守って生きたかった。だかりゃ、あの魔力は自分の最後の欲。――最後まで守りぇない自分の代わりに役に立てたいという祈り」

 アカネの言葉に納得してしまう。


「だからか……」

 俺には新庄の傍らに寄り添っているリムクラインの幻が見える。


 かたきを討たせてあげたい気持ちもあるが――。


「――新庄さん」

 散々空気を読まない読まない言われていたが、ここでも空気を読まないで行動させてもらおう。


「魔王を倒すのは勇者おれの役目だ。取らないで欲しいな」

 そう宣言した。






真緒「……⁉」

勇者「どうしたの⁉」

真緒「勇者が空気を読んで、あえて、その空気を無視しただと…⁉」

勇者「俺のイメージって……」

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