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諸事情につき、勇者ハーレムの中にいます  作者: 高月水都
外の敵
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嘘つきの集い

取り敢えず魔王一人解決

  第25話 嘘つきの集い

 集落を襲おうとしていたエルフも片付いた。

「殿下は、無事だろうか」

 そして、みんなは、……新庄さんは。

                  *

「私は、この子が気に入った」

 手のひらサイズの旧友に、

「気に入ったって、…なんで言葉…」

「決まっている。郷に入れば郷に従え。だ」

 誰だ教えたの。それ日本のことわざ。

「この子貰っていい?」

 貰うって、

「あの…貴方は……」

 王女が目をぱちくりさせてる。

「私は森の主。さっき貴方を襲おうとしたのは私の眷属だった者よ」

 ………………嘘は言ってない。

 私は魔王と呼ばれていたけど、私と同格の者は、冥王と呼ばれていたり、竜王と呼ばれてたり……森の主と呼ばれていたりする。

 何それ、魔王よりかっこいいじゃない。

 そんな不満が口に出そうになるがとりあえず口を閉じる。

「じゃ、じゃあ、精霊様ですか!?」

 ああ、そうなるんだ。うん。……いじけてないよ。魔王と怯えられたな(遠い目)

「そう呼ぶ人もいるわね」

 くすくすと笑う声。

 何か企んでいるな。

「魔王の生贄だった事で、辛い想いしてないかしら?」

 こいつ人の傷口抉るな。

 言っとくけど私は何もしてないからな。


 王女はぼろぼろと涙を流しだす。

「泣けばいい――辛かったな」

「………」

 それ、辞めてくれない。元凶とはいえ、居た堪れないから。

「………はい」

 そして語られる。数々の誹謗嘲笑。

 王女だと頭を下げても少し離れたら魔王によって傷物になったと嘲笑われる日々。

「私は無事じゃなければ良かったの!?」

 無事じゃなければ、悲劇の王女として見てもらえた。こんな屈辱知らずに済んだのに。

 誇り高いから許せない。

(う~ん。性格悪い王女様だと思ったけどな)

 もしかして、勇者に助けられた後にいろいろあったのかな。

 やや、人事のように推測してしまう。

(そう言えば、代々の生贄達どうなったんだっけ?)

 思い出せないな。

「そんな貴方に相談があるの」

「”千華葉珠!! 何を企んでいる!!”」

 この地をまだ狙うつもりか!!

「”貴方の尻拭いしてあげるわよ。ラーセルシェード”」

 にやっ

 目がないのにどうしてこちらの視線を向けてこられている気がするのだろう。

「貴方を私の巫女にしたい」

「はあああああ?」

 その言葉のタイミングで勇者達が現れた。

 もしかして、狙っていたんじゃないだろうな。

「初めまして勇者。私はこの地より離れたところの森を支配する主と呼ばれている」

 嘘は言ってない。

「私の地からこの地を攻めようとする者を止めに来たのだが」

 はい。嘘です。

「この地で、私が気に居る巫女に会えるとは思わなかった」

 勇者が難しい事言われて頭パンクしてるぞ。

「その清らかな魂の持ち主を私の巫女にしたい」

 ……………ああ。読めてきた。

 魔王の生贄は外聞悪いけど、異郷の地とはいえ、精霊の王が巫女として欲していると言えばどうなる。しかも、勇者の目の前だ。


 汚名返上になるよな。


 いろいろと切ないけど。

             *

 取り敢えず、この件は持ち越しになるそうだ。

「”千華…”」

「”これぐらいで詫びになるかしら?”」

 訪ねられて苦笑する。

「”……すまないな”」

 借りを作ってしまった。

「”私はこれで済ますけどまだ問題はあるんでしょう。がんばりなさい”」

 その言葉を最後にここら辺一体に咲いていた花は枯れていく。

「”ああ、がんばるよ”」

 

「森の主は宅盤から降りました」

 一つの声。

「もう少し遊びが楽しくなると思ったのに」

 不満げな別の声。

「まだ、駒は残っているじゃない。前哨戦じゃ。こんなものよ」

 話をする者の隅に身体が拘束されている存在が一人。

「困った子が遊びを話してしまうか不安だったのよ」

 その拘束されている存在に視線を向けて呟かれる声。  

(ラーセルシェード…)

 目が死んでいる状態のそれ――かつての勇者は届かないと知りつつも祈る。

(どうか、無事で……)

 と―――。


 

 


次回はリムクラインを出したいな(いうだけタダ)

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