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魔王の権利を持ちながら義務を放棄する者

ラスボスの歓迎方法

(*間違ってます)

  第248話  魔王の権利を持ちながら義務を放棄する者

 不愉快。

 そう一言で言い切るにはその光景は異常過ぎた。


 醜悪。

 その一言で片付けるとその犠牲者が哀れだった。


 モニュメントの様に飾られた肉の塊。

 壁には、この国の王の顔が生きたまま飾られている。


「喜んでくれましたか。我が君のために用意したんですよ」

 そこの中央。

 玉座すら血肉で飾り付けた男が笑う。


「殿下……」

 王女が蒼白になって倒れそうになっているのでたまたま近くに居た――勇者達は戦闘に入れるように構えていたので――からそっと支える。

「お父様……」

 生贄にされたり、腫れ物扱いされたけど、この国の傾国の美女。大事にされたのがよく分かる。


 壁に取り付けられた王は気が狂う事も許されず、しっかり意識を保っている。

 それ故、今の自分の状態を王女に見せられて、羞恥と矜持。二つの意識と戦い。


 殺してくれ。とその口は動いた。


「――用意したというのは」

 不快とかそう言うのを通り越すと妙に頭が冷めるんだな。

 ――消えた筈の魔力が蘇らそうだ。あいつを叩きのめしたいという欲で。


「その言葉通りです。この者らは我が君とワタシの逢瀬を邪魔した挙句、我が君がかどわかされる時間を作ったのです。――その詫びを果たしてもらっているのですよ」

 司祭と呼ばれていたそいつの身体がドロドロに溶ける。


「我が君を歓迎するための飾り。それに成れた栄誉を特別に与えたのです。嬉しいでしょう」

 飾りの一つ。

 この国で勇者――と私――を召喚した時に傍に居た大臣だった者に触れる。


 痛覚はあるのだろう。触れられるだけで痛みで顔を歪めるその大臣だった者は痛みと恐怖で顔を歪ませて、怯えたようにこちらを見ている。


 ――助けを求めているのか。司祭の暴走の原因がこちらにあると責めているのか。どちらにしても判断は付かない。


「ねえ。我が君」

 司祭は手招きをする。

「勇者達がこの飾りに成ってもらいたくないのなら来てくださいますよね」

 にこやかな脅し。

「――脅して欲しい物を手に入れるか。小さいな」

 そんな器で王に成れると思っているのか。

 挑発。


「王になる気はありませんよ。ワタシが成りたいのは我が君の唯一。我が君の憎しみ。我が君の悲しみ。我が君の愛。我が君の全てを向けあられる対象。我が君に触れるのはワタシだけでいい。我が君の声を聞けるのも我が君の強さも弱さもすべてワタシだけのモノ。それ以外は欲してません」

 だから。


 床に広がる司祭の身体であった物体。

 それがこの場に居る全員の足を絡め捕る。


「我が君以外はいらないのでこの場で退場してもらえますか」

 嫌な感覚がした。


 ・・・・・

「パイシャン!!」

 とっさに魔法少女を名前で呼ぶ。

 名で呼んだ事が彼女に緊急性を伝えられた。

 魔法少女の術でこの場に居た勇者一行は宙を浮かぶ。


 それが正解だった。


「ぎゃあああああああああああ!!」

 司祭によって飾りに成っていた人間だった者が悲鳴をあげる。 


 その肉塊はそれに触れたからか異臭を放って、溶けだしている。


「酸……」

 勇者が呟く。


「たぶん。あれ…酸だ」

 強力な。


 勇者の言葉に。

「リム」

 短く命じる。

「はっ」

 リムが魔力を紡ぎ、炎を出現させる。


 全てを焼き尽す地獄の炎。

「湯島君。ごめん」

 判断を仰ぐ必要があったかもしれないが、仰ごうと思わなかった。


 ――それよりも先に楽にしてあげたいと思ったから。




 

魔法少女(何人いるか分からないけど。全員浮かべるのって疲れる)(;´・ω・)

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