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新しい魔族

転移って便利だな

  第240話  新しい魔族

 まず目に入ったのは、化け物だった。


 一見すると馬や牛。鳥に見えるが、その身体一つ一つ人間の身体が見えて、人を粘土状にして作り上げた物体にしか見えなかった。


「醜悪だな」

 美意識が感じられない。

「新庄さん………」


「獣はもふもふしているからいいのにその可愛らしさを奪って人間を捏ね繰り回して作るなんて悪趣味としか思えない!!」

 鳴き声なんて悲鳴だ。悲鳴。

「もふもふだからいいのに」

 力説するとすかさずアカネがもふもふ姿――魔獣姿――に変化して腕の中にすっぽリと入ってくる。ああ、もふもふに癒される~。


「やはり魔人に進化しないで獣人でいればよかったのか」

「………」 

 もふもふ分が少ないと嘆く魔人二人に、

「あっ、ごめん」

 二人を蔑ろにしたわけじゃないから。


 どちらかと言えば、魔獣姿と魔人姿を取れるアカネがあざとい――だが、それがいい――だけなのだ。


「新庄さん~!!」

 あっ、勇者が困ってる。

「お願いだからシリアスムードを壊さないで」

 そう言われても、

「たぶん。新しい魔族だろうね。――私の管理から外れてる」

 こんな悪趣味いらないし。

「新しい魔族って……」

「魔王は魔族を創れるんだよ」

――そうだよ。ボクの知るだけで、新しい魔族とかつての魔族の争いもあったらしいしね

 ミニチュア精霊王が補足する。

 どうでもいいけど、その口調どうにかしてくれないか。

「……冥王を思い出させるんだけど」

―ー和ませるためにしたんだけどな

 和むか⁉


「新庄さんの管理じゃないって事は……」

幾ら――空気を読まない――勇者でも分かったのかと感心していたら。

「どういう事?」 

 と返された。


「勇者。おそらく…」

「ここに別の魔王が居るって事だよ!!」

「つまり…、それは…」

 巫女。魔法少女。女騎士がそれぞれ説明をする。

 ご苦労様だな。ホント。


「司祭が魔王になりつつあるって事……?」

 おっ、理解したか。

「そう言う事」

 それにしても……。


「湯島君。巫女さん」

 これを対応できるのは二人だけだろう。

「勇者の剣とユスティの力があれば浄化できるけど…、巫女さんは出来ればユスティの力を隠してほしい」

 後、

「女騎士も冥王の力があれば解放できるけど。それはこいつらにはあまり通用しないかも」

 生きている状態でぐちゃぐちゃにされて混ぜられたのだ。勇者と巫女の方が向いている。

「………元には」

 戻せないのかと尋ねられて、

「……!!」

 首を横に振る。


「そうか……」

 勇者が剣を構える。


 勇者様。

 勇者様。

 我らの希望。

 我らの光。


 正義の味方。


 剣から妄執が伝わってくる。

 多くの人間の祈りが剣に集まってくる。


 勇者はその剣を振るう。

 化け物に向かって――。


「行くべき場所に行けますように」

 巫女が祈る。


「彼らを元に戻す方法はなかったのかな……」

 口にはしなかった。でも、みんな察していた。


 あの化け物は生きている人間が使われていて、まだ人の意識が残っていた。

「ごめん。それは作ったモノの意思が尊重されるから」

 だから、

「司祭を倒さないと無理」

 そう告げるのが精一杯だった。




真緒様のポジションが賢者か隠者になっている件。スレイン導師……

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