逃げた鳥
ノリを忘れないうちに投稿しようと思って
第234話 逃げた鳥
鳥が逃げた。
誰かが呟く。
「せっかく遊んでいたのにそれを壊して鳥が逃げたわ」
その声には苛立ち。
自分達の手に入らない自由を手に入れた。
憎らしい。恨めしい――羨ましい。
「我らは手に入らないのに」
「これが、偽りの神って事なの……」
高位の者と呼ばれる存在達はその座から降りれない――ある条件を完成させないと。
「お膳立てはしたのに……」
「邪魔ばかりして……」
忌々しい。罰を与えたくてもすでに魂は冥府の門――冥王の管理下に入ってしまっている。
「――落ち着きなさい」
ざわざわと騒ぐのを抑える涼やかな声。
「丁度いいじゃないの? 消えた事であの子の掻き回した遊び場がより面白くなると思えば」
それに、
「あの子が力を与えた子。――次はあの子で遊びましょう」
また作れると思えばいい。
偽りの神を――。
「偽りの神を崇める姿は滑稽だったわよね」
「名の束縛されていたから都合のいい駒だったしね」
「また、作って遊ぶのは確かに面白そうだな」
くすくす
ふふっ
笑う。
笑う。
嗤う。
「――ホンと人間は愚かで」
「くだらなくて」
「進化しない」
面白い玩具だ。
「さて、女神がいなくなって人はどうすると思う?」
「古の神を呼び戻すか」
「ユスティ教が壊していったのに?」
「あらあらそうだったわ」
「大変だな~」
ふふふっ
「それも賭けにしましょうか? そうね。勝った者が敗者復活戦と言うのは」
「それはいい。乗った」
一人の声に次々と乗っていく者達。
「――でも、これからどうするのかしらね」
「どうでもいい。我々を面白くさせるのなら」
「退屈しのぎになるからな。――勇者と魔王の戦いも」
かつての勇者。かつての魔王。
そんな立場であっても今はそんなものが残ってない。
彼らは笑う。ただ、この舞台が面白くなるように――。
「さて、次はどう動くのかしら」
水盤に映るのはかつて魔王だった少女。
見えて無い筈の彼女は、女神の力を得てしまった少女を守るように傍に立ってこちらを睨んでいる。
ほんと、面白い。
その反応もただこの場に居る者からすればただの娯楽にしかならなかった――。
巫女「悪寒が……」
真緒「フラグが立った……」




