合格の果て
女神の試練はこれで終わり。
第233話 合格の果て
「えっと……?」
今自分がどんな状況か分からなかった。
………なんで花冠飾られてるんだろう。
「気分どう?」
尋ねられて、
「……妙な夢を見せられたと言いますか」
「試練だしね」
試練…?
「試練っていうか。延々と幻を見せられたんですけど…」
そう。あれは幻。
「良かったね。その幻で怪我しないで」
幻が強く影響すると実際に痛みを覚える事もあるからね。
そう説明してくれる。
「怪我…」
鞭で叩かれた。それが本当なら怪我が出てもおかしくない気がする。
「そこまで幻に入れ込んでなかったんでしょ」
それともそうしたのか。
「――そこのところはどうなの?」
明後日の方に声を掛けている新庄の姿に、
「誰か居るんですか……」
見えない幻を見てる可愛そうな人だと一瞬思ったけど――この人何の力もないという感覚なので――魔物――いや、魔族か。言いにくいな――が居るのかと思って聞いてみたのだが、
「いや、――女神が」
「そんな虫を見付けたみたいに言わないで下さい!!」
突っ込んでしまったわたくしは悪くない。
「虫って…」
――わたくしは虫扱いですか?
ふわっ
女神が姿を現す。
――試練お疲れさまでした
柔らかい笑み。
―ー合格したので早速力を与えましょう
「展開早いな……」
女神に新庄が突っ込む。
――仕方ありません。……わたくしのする事はあの者達の止められる事なので
女神の言葉に新庄の表情が険しいモノになる。
「――巫女。覚悟しておけ」
新庄の声に嫌な予感がする。
「あの……」
――そう言われて覚悟できますか? 魔王と違って
彼女はただの勇者のお供ですよ。
「そのお供にとんでもない物を渡そうとしているのに何言ってんの」
えっと、とんでもないモノって……。
――その方が面白そうですから
頑張りなさい。
と、こちらの意見も聞かずに……。
あっ、違うか力を欲しいと願ったのは自分だ。
「あの……」
二人だけで理解し合わないで説明してくれませんか?
と言いたいが、
(会話が普通なのに殺伐している……)
怖い。
うん。声掛けるのは無理。
――じゃあ、渡します
ふわっ
白金……。そんな感じの光が降ってくる。
神の力?
「気を付けなよ。その力はこいつの力全てだから」
へぇ~。って、えっ⁉
「あの…」
――ばらすのは卑怯じゃないの?
「真実を言わないで押し付ける方も問題だからな」
ばちばち
火花が舞っている。
とん
「……」
花冠を乗せたアカネが首を横に振る。
諦めろ
そう声に出さないで告げられる。
「あの……わたくし……」
――って、事で頑張ってね。次の女神
「魔王。または勇者しか神になれないので大丈夫でしょう」
なんか問題発言をして、さっさと去っていく。
いや、
「ようやく、冥府の行けたか……」
しみじみと……いや、しみじみされても困る。
「あの……」
さっきからあの…しか言ってないという突っ込みが来そうだけど、それしか言えないのだ。
「わたくしはどうなるのですか…」
誰か教えてください。
「――ああ。安心していいよ」
司祭よりも強くなっただけだから。
「安心できません!!」
説明もなくそう言われても答えようがない。
「だよね……。どう説明すればいいかな~」
困ったように考えて、
「ユスティが、貴方に力をすべて譲渡したの。それによってあなたはユスティと言う存在が持つと言われている力を持った事になるのよ」
聖女という肩書程度だろうけど。
その言葉にプルプルと震えてくる。
「誰が、そこまで欲しいと言いましたかっ!!」
怒りで叫んでいた。
その際近くの木々が嵐に襲われたように倒れていったが…………。
――自分は悪くない。
悪くないのです!!
これで、女神の登場は無くなったと思って下さい




